そんなコンなで毎日修行中!

 結界の外へ出ると、はぁ~、と大きな安堵のため息がもれる。


 突き刺さるような視線、『いつでもおまえのことなど、どうとでもできるわ』と言わんばかりの荒ぶる妖力。

 命の危険を何度も感じつつも、なんとか無事に里を出られたのは、きっとおばあさまと康哉のおかげに違いない。


 おばあさまの部屋を出たところでじっと静かに待ってくれていた康哉は、わたしが里を出て、山をすっかりおりるまで、ずっと付き添ってくれた。


「今日は本当にありがとう」

「これでよくわかったでしょ? 君の居場所は、里にはない。おかしなことは考えないことだよ」

「お、おかしなことって?」

 思わず顔が引きつる。


「ま、足枷を外すこともできない君に負ける気はしないから、別にいいけど」

「足枷って?」


 いったいなにを言ってるの、康哉?


「とにかく、君には絶対に譲らないから」

「わ、わたしだって! あきらめない……から」

 せっかくあげた声が、尻すぼみに小さくなっていく。


 そんなわたしの目の前に康哉がつかつかと歩み寄ると、胸元に隠してある勾玉を勝手に引っ張り出した。


「ちょっと、やめっ……」

「こんなもので妖力を抑えられてなきゃ日常生活すらまともに送れないような君に負けるわけない。いくら妖力が強くたって、結局妖狐としては半人前なんだよ」

 そう言い残すと、康哉はキツネの姿に変化して、再び山へと戻っていった。


 ……え? どういうこと?


 この勾玉は、わたしの足りない妖力を補うためのものなんじゃないの?

 本当は、わたしの妖力を抑えるため……?

 だから狐火もお母さんみたいにうまく操れないの?


 でも、お母さんはそんなことひと言も……。


 わたしはいったいなにを信じればいいの?


 わたしは、ぎゅっと胸元の勾玉を握りしめた。