妖狐の術のせいだからなのか、妖狐のわたしたちだけは、かろうじて和真のことを覚えている。
こんなに自分が妖狐でよかったなんて思ったことは、今までなかったかもしれない。
大丈夫。和真のこと、わたしは絶対に忘れないよ。
いなかったことになんて、絶対にさせない。
「それから李胡。あなたにひとつ頼みがあります」
名前を呼ばれ、わたしはおばあさまの顔を見た。
「頼み? なあに、おばあさま?」
「康哉のことを、よく見ていてあげてちょうだい。そして、困っているときには、手を差し伸べてあげて」
「でも、康哉はわたしよりずっとなんでもできるし、きっと助けなんていらないと思うよ?」
「そうね。でも、あの子はああ見えて、一人でなんでも抱え込む悪いクセがあるの。もっとまわりを信頼できるようになるといいのだけれど」
康哉は、黒瀬くんと違って、クラスに上手に溶け込んでいるように見える。
いつだってニコニコして、柔らかい雰囲気でみんなに接しているから。
長の言いつけを守っているだけだって康哉は言うけど、本当にみんなとうまくやっているなって思う。
なのに、わたしに対しては、いつも挑戦的で、イジワルな言い方ばかり。
でもそれは、きっと里でツラい思いをいっぱいして育ってきたからなんじゃないのかなって、今ならちょっとだけわかる気もする。
わたしがこんなことを言ったら、「君にだけは同情されたくない」なんて言われちゃいそうだけどね。
それでも、「大丈夫だよ。味方はここにちゃんといるよ」って、言ってあげたい。
だって、本当は優しい子だってこと、わたしはもう知っているから。
「うん、わかった。康哉のことは、わたしに任せて」
こんなに自分が妖狐でよかったなんて思ったことは、今までなかったかもしれない。
大丈夫。和真のこと、わたしは絶対に忘れないよ。
いなかったことになんて、絶対にさせない。
「それから李胡。あなたにひとつ頼みがあります」
名前を呼ばれ、わたしはおばあさまの顔を見た。
「頼み? なあに、おばあさま?」
「康哉のことを、よく見ていてあげてちょうだい。そして、困っているときには、手を差し伸べてあげて」
「でも、康哉はわたしよりずっとなんでもできるし、きっと助けなんていらないと思うよ?」
「そうね。でも、あの子はああ見えて、一人でなんでも抱え込む悪いクセがあるの。もっとまわりを信頼できるようになるといいのだけれど」
康哉は、黒瀬くんと違って、クラスに上手に溶け込んでいるように見える。
いつだってニコニコして、柔らかい雰囲気でみんなに接しているから。
長の言いつけを守っているだけだって康哉は言うけど、本当にみんなとうまくやっているなって思う。
なのに、わたしに対しては、いつも挑戦的で、イジワルな言い方ばかり。
でもそれは、きっと里でツラい思いをいっぱいして育ってきたからなんじゃないのかなって、今ならちょっとだけわかる気もする。
わたしがこんなことを言ったら、「君にだけは同情されたくない」なんて言われちゃいそうだけどね。
それでも、「大丈夫だよ。味方はここにちゃんといるよ」って、言ってあげたい。
だって、本当は優しい子だってこと、わたしはもう知っているから。
「うん、わかった。康哉のことは、わたしに任せて」



