「19番。岡林和真」
「はいっ!」
「これまで以上に、しっかりがんばるように」
「はい。ありがとうございます!」
顧問の秋葉先生からユニフォームを受け取った和真が、じっとユニフォームを見つめている。
よかったね、和真。
なんだか涙が出そうになってきちゃった。
レギュラーまではまだ遠いけど。和真なら、絶対近いうちに届くって信じてる。
「20番。黒瀬月斗」
「……はい」
黒瀬くんの名前が呼ばれた瞬間、あたりがザワつく。
『なんでアイツなんだよ』っていう、不満を包み隠さない声も聞こえてくる。
入部したての頃は、バットの握り方も知らなかったんだもんね。
野球初心者のわたしでも、ものすごく大胆な抜てきだって思う。
たしかに、足の速さや、当たったときの一発の威力はハンパないけど、まだまだ当たりそこないの方が圧倒的に多いし、守備では簡単なフライでもポロポロこぼしてしまう。
でも今、誰よりも伸びているのは間違いないと思う。
先生や先輩のアドバイスも、意外と素直に聞いているみたいだし、それをすぐプレイに生かそうと努力しているっていうのも、見ていて感じる。
最初の頃は、自主練と称して和真になにか悪いことをしているんじゃ……って心配していたけど、最近では、きっと二人で自主練がんばっているんだろうなって、思えるようにもなってきた。
だって、頑なに和真のことを拒んでいたはずの黒瀬くんの空気が、最近少しだけ柔らかくなってきたように感じるから。
二人の間で、信頼関係ができてきたんじゃないかなって思っているんだ。



