そんなコンなで毎日修行中!

 できなければ、できるまでやればいい。

 ほら、もう一回!


 今度は、部屋の前の狐火に一直線に向かっていく。


 そのまま、そのまま……。


 左のこめかみから、汗が一筋したたり落ちる。

 左に一瞬気持ちがそれるのと同時に、わたしの狐火もじゃっかん左寄りに軌道を変える。


 違うよ、そっちじゃない……!


 気合いで軌道を修正すると――。


「当たっ……」

 和真の部屋の前をうろうろしていた狐火とともに窓にゴッとぶち当たると、そのまま二つの狐火は消滅した。


 物音に気づいたのか、和真がガラガラッと勢いよく窓を開ける。


「なにやってんだよ、李胡。練習するときは、ちゃんと結界張らなきゃダメだろ」

 和真が、わたしを見おろし、文句を言う。


「あ、ご、ごめんね。ちょっとヘンな方に飛んじゃって」

 あははと笑ってごまかすわたしに、はぁーと和真が大きなため息をつく。


「ったく。間違っても、俺んちを火事にすんなよな」


 まだブツブツと文句を言う和真だったけど、「和真ー。夕飯できたから、おりていらっしゃーい」という和真のお母さんの声がすると、「はーい、今行く」と言いながら窓を閉め、行ってしまった。


 はぁ~、よかった。

 とりあえず、正体不明の狐火のことは、バレずにすんだみたい。


 やればできるじゃん、わたし!


 ふふんっと一人で胸を張ってみたけど、ホメてくれる人がいないのは、やっぱり寂しい。


 そっか。わたし、和真に『すげーな、李胡』って言ってもらえるのが、なによりもうれしいんだ。


 和真。わたし、一人でもがんばってるよ?


 だけど、和真の部屋は真っ暗なままで、再び窓が開くことはなかった。