「キツネ……さん?」
学校からの帰り道。わたしがひとりで歩いていたら、一匹のキツネが茂みの中から出てきて、あっという間に人間の男の子に変化したんだ。
色素の薄いさらっとした髪に、髪と同じ明るい色の瞳で、とても整った目鼻立ち。
身長は、あの頃はまだわたしより少し高いくらいだったっけ。
「うわわっ、すごーい! ねえ、それってどうやるの⁉」
「は? なに言ってるの? あんたも一応半分は妖狐なんでしょ?」
わたしが興奮ぎみにたずねると、その男の子は呆れたように鼻で笑った。
「そうだけど、わたし、耳としっぽは勝手に出ちゃうのに、キツネの姿には変化できないんだよね……って、わたしのこと、知ってるの?」
「春日李胡。あんたの母親は妖狐で、里の裏切り者。でしょ?」
「ち、違うよ! 別にお母さんは里を裏切ったわけじゃ……」
「じゃあ、なぜ禁じられているのに、人間の男と結婚なんかしたの?」
「それは、お父さんとお母さんが、好き同士になったからで……」
「あんたの母親のせいで、僕まで他のヤツらから白い目で見られてるって知ってる?」
「え? それってどういう……」
「長だって、『娘があんなことをするようでは、里長にはふさわしくない』ってみんなに陰でコソコソ言われてるんだよ?」
「……」
そんなこと言われたって……わたし、はじめて聞いた話ばかりなんだけど。
学校からの帰り道。わたしがひとりで歩いていたら、一匹のキツネが茂みの中から出てきて、あっという間に人間の男の子に変化したんだ。
色素の薄いさらっとした髪に、髪と同じ明るい色の瞳で、とても整った目鼻立ち。
身長は、あの頃はまだわたしより少し高いくらいだったっけ。
「うわわっ、すごーい! ねえ、それってどうやるの⁉」
「は? なに言ってるの? あんたも一応半分は妖狐なんでしょ?」
わたしが興奮ぎみにたずねると、その男の子は呆れたように鼻で笑った。
「そうだけど、わたし、耳としっぽは勝手に出ちゃうのに、キツネの姿には変化できないんだよね……って、わたしのこと、知ってるの?」
「春日李胡。あんたの母親は妖狐で、里の裏切り者。でしょ?」
「ち、違うよ! 別にお母さんは里を裏切ったわけじゃ……」
「じゃあ、なぜ禁じられているのに、人間の男と結婚なんかしたの?」
「それは、お父さんとお母さんが、好き同士になったからで……」
「あんたの母親のせいで、僕まで他のヤツらから白い目で見られてるって知ってる?」
「え? それってどういう……」
「長だって、『娘があんなことをするようでは、里長にはふさわしくない』ってみんなに陰でコソコソ言われてるんだよ?」
「……」
そんなこと言われたって……わたし、はじめて聞いた話ばかりなんだけど。



