はぁ~、やっと元に戻ったよ、わたしの耳。
肩の高さで切りそろえた髪をぱぱっと整え、鏡でもう一度キツネの耳が出ていないかチェックしてからお手洗いを出ると、同じクラスの竹本紗香とばったり出くわした。
「李胡、ここにいたんだ! 探したよー」
「ごめんね。えっと、なんだった?」
「今ね、学校新聞用のスクープを探してて。ねねっ、なんかおもしろそうなウワサ話知らない⁉」
「う、ウワサ話⁉ うーん……わたし、紗香が教えてくれたのくらいしか知らないなあ」
「うーん、そっかあ。じゃあ、他当たってみるね!」
笑顔で軽く片手をあげる紗香。
「あーっ! あっちゃん、いいとこに。ねねっ、なんかいいウワサ話のネタ持ってない?」
すぐに別のクラスメイトの姿を見つけ、声をかけにいく。
あはは。紗香、ほんとがんばってるなあ。
紗香は、小学校からのわたしの一番のお友だち。
ヒミツを知られないように、できるだけ目立たずひっそりと過ごすことを心がけているわたしにとって、唯一のお友だちといってもいいかもしれない。
だから、中学でも一緒のクラスになれたってわかったときは、うれしくて思わず泣きそうになっちゃった。



