「うわわっ!」
目の前で、ぶぉんっ! とひときわ大きくなった炎を慌ててぱたぱたと消すと、チリチリになった前髪を引っ張って、はぁーー、と大きなため息をつく。
あーあ、また前髪が焦げちゃった。
いっぱい練習しても、なかなかうまくできるようにならないんだよね、狐火のコントロール。
わたしの気持ちを表すかのように、背中のしっぽがしょぼんと下を向く。
「大丈夫か、李胡?」
和真の心配そうな声に、頭の上の三角形の耳がピクリと反応する。
「うん。大丈夫、大丈夫!」
落ち込んだ気持ちを必死に押し込め、笑顔で和真に返すと、もう一度両方の手のひらを胸の前で合わせてからゆっくりと開いていく。
手のひらに熱をこめて……っと。
徐々に手のひらが温かくなるのと同時に、手と手の間に小さな炎が生まれる。
うふふっ。いつ見てもかわいいなぁ、狐火の赤ちゃん。
人間の世界で暮らしていくには変化の術は必要不可欠だけど、狐火はムリに練習しなくてもいいのよってお母さんには言われている。
けど、どうしてもちゃんとできるようになりたいんだ。
だから、毎日こうやってがんばって練習しているの。



