戸惑う彼の瞳が、私の心を揺さぶる。
そしてまたまわりを見回して、そっとかがむとこそりと言う。
「この場面、誰かに見られたら俺がまずいです」
「…は、はい。すみません」
とっさに謝って、そして答える。
「あの、はい。の、飲みます。ワインが好きです」
動揺は一切隠せていない。
私は腕の中に抱えた資料の束をわけもなく持ち直した。
「西野さん。仕事の顔して」
「はいっ」
私が返事をした直後、向こうから廊下を歩いてくる二人の男性社員。
こちらを見ているのは、私にもよく分かった。
東央ヘルスケアの社員さんはよく見かけるが、どこの部署だとか、そういうのはまったく分からない。
社員証も首からかけている人もいれば、そうでない人もいる。
すれ違う時はなるべく挨拶はするようにしているが。
一人がすれ違いざまに、椎名さんと言葉を交わす。
「お疲れ様です」
「椎名くん、今日は定時で上がれそう?」
「今日は厳しいかな」
「そっかー。…あ、お疲れ様です」
声をかけてきた一人が、私に向けて挨拶をしてきたので「お疲れ様です」と会釈した。
「彼女が、朝比奈さんの?」
確かめるような響きで、椎名さんに尋ねている。
「はい。まだちょっと何点か確認したいことがあって」
「どーもー。いつも来ていただいてるみたいで。ご足労おかけしてます」
「いえ…」
一応返事はしたものの、後ろのもう一人が含んだような表情なのが、気にかかる。
「まだ終わってない話があるので、またあとで」
椎名さんは相変わらず穏やかな顔でそう言って、彼らに先に行くよう促す。
二人とも、去り際まで視線を残していった。
そしてまたまわりを見回して、そっとかがむとこそりと言う。
「この場面、誰かに見られたら俺がまずいです」
「…は、はい。すみません」
とっさに謝って、そして答える。
「あの、はい。の、飲みます。ワインが好きです」
動揺は一切隠せていない。
私は腕の中に抱えた資料の束をわけもなく持ち直した。
「西野さん。仕事の顔して」
「はいっ」
私が返事をした直後、向こうから廊下を歩いてくる二人の男性社員。
こちらを見ているのは、私にもよく分かった。
東央ヘルスケアの社員さんはよく見かけるが、どこの部署だとか、そういうのはまったく分からない。
社員証も首からかけている人もいれば、そうでない人もいる。
すれ違う時はなるべく挨拶はするようにしているが。
一人がすれ違いざまに、椎名さんと言葉を交わす。
「お疲れ様です」
「椎名くん、今日は定時で上がれそう?」
「今日は厳しいかな」
「そっかー。…あ、お疲れ様です」
声をかけてきた一人が、私に向けて挨拶をしてきたので「お疲れ様です」と会釈した。
「彼女が、朝比奈さんの?」
確かめるような響きで、椎名さんに尋ねている。
「はい。まだちょっと何点か確認したいことがあって」
「どーもー。いつも来ていただいてるみたいで。ご足労おかけしてます」
「いえ…」
一応返事はしたものの、後ろのもう一人が含んだような表情なのが、気にかかる。
「まだ終わってない話があるので、またあとで」
椎名さんは相変わらず穏やかな顔でそう言って、彼らに先に行くよう促す。
二人とも、去り際まで視線を残していった。



