恋は手のひらの上で

東央ヘルスケアとの共同開発と聞いた時は、その社名に怯え、私なんかが主体となっていいのか、何度も迷ったりもした。

それでも、こんなに頑張れたのは─────

ふと、椎名さんの顔が浮かぶ。


最後に会ったのは、もう二週間前だった。

忙しいのは分かっている。
むしろ、あの人の方が忙しいはずだ。

東央ヘルスケアは大きな会社だ。
今回の保湿ジェルも、向こうにとって大きなプロジェクトだった。


今じゃないのは理解している。
それでも、会いたいな、と思ってしまう。


恋人になったのに。
恋人になったからこそ、余計に。


私はスマホを手に取る。
特に用事はない。

メッセージの画面を開いて、閉じる。


…会いたい、なんて。

そんなこと、わざわざ送るのも変な気がする。