恋は手のひらの上で

紗英がふっと息をついた。

「…じゃあさ、高橋のことはどうするの」

その名前を出されて、私は少しだけ視線を落とした。

「明日、ご飯行く」

「えっ、ついに?」

「うん。ちゃんと話そうと思って」

麻耶がビールを片手に静かにうなずく。
なにもかも察したみたいに。

「それがいいね。あいつのためにも」

その隣で紗英がグラスをくるくる回した。

「芽依ってさ、ほんと真面目だよね」

「急に悪口?」

この流れで唐突に言われたので、次はなにを言われるのかと身構えていたら、首を振られた。

「ううん、褒めてる」

そうだね、と麻耶が小さく笑う。

「ちゃんと順番守ってる。芽依らしいよ」

二人の意図がよく分からず、私はまたジンジャーエールをこくこくと飲む。
冷たい炭酸が喉を通る。

紗英がふっと肩をすくめた。

「明日終わったら、また報告してよね」

「…うん。分かった」


なんだかんだ言いながらも、たぶん二人は私のことをちゃんと理解してくれてる。

ジンジャーエールの炭酸と香りが、ほのかに弾けた。