僕のHeartbeat〜落ちこぼれアンドロイドと天才〜

街が夕焼けで赤く染まり、その赤も夜の闇に消えようとしている。シリルは展望台に来ていた。アンドロイドの彼には行くあてなどない。

「僕より優秀なアンドロイドを買う方がラナにとってもいいよね……」

このまま外にいれば、シリルの充電はいずれ切れてしまう。充電が切れればその場から動けない。その状態で雨風に晒されれば、精密機械でできたアンドロイドなどあっという間に壊れてしまう。壊れることは、アンドロイドにとって「死」だ。

「このまま僕は消えるから……」

そうシリルが呟いた時だった。後ろから声が響く。

「勝手に消えるなんて、絶対に許さないわよ!!シリルの主人は私なんだから!!」

振り返り、シリルは目を見開く。ラナが立っていた。走ってきたのか、呼吸が乱れている。ラナが一歩近付いた。シリルは一歩後ずさる。

「何でここが……」

シリルの呟きに対し、ラナは白衣のポケットから一台の端末を取り出した。

「アンドロイドにはGPSが埋め込まれてるの。主人はアンドロイドがいなくなった時、探せるようになってるわ」