硝子の空蝉











『……しっかり写っとるかな?…画面越しやけど久しぶりやんな。……渚』














幼馴染の灯から、急にビデオメッセージが送られてきた。











『 コレを見とる、っていうことは私はもうこの世にはおらんてことやんな。 』




『 ……ははっ、寂しいな、もう逢えやんの 。 』







画面越しの灯は、病院に居た。

ベッドの上で、寝ていた。


昔は、あんなに元気に遊んでいたのに。



白い顔。

元々細かった身体が、更に細くなってしまっている。








『 ……まあ、渚は私のこと……嫌いなんやろ? ………前、撫子の前ではっきり言うとったもんね。 』








…嫌いじゃない。

寧ろ、俺は 灯 の事が ――






『……ま、めんどい前置きはもう終わりにしよか。……私な、ずっと渚に言いたかった事があんねん。』








止めてくれ。









『私な………渚の事がな』










その先の言葉を、言わないでくれ。









まだ、区切りがついてないのに。





まだ、灯に対しての想いが残ってるのに。

















『ずうっと、好きやった。』













「……今、そんな事言われても……………もう遅いやろ」










時雨 灯 享年16歳







俺の幼馴染で、 初恋の人 の灯は





膵臓癌により、呆気なくこの世を去った。






「………いかんといてや、」




俺は、ベッドに横になりながら静かに雫を流した。