ただそこに愛があるなら

「んー、やっぱりネックは人材ね。土地や建築に関しては松島グループで補えるけど、美容師やスタイリスト、フローリストの人脈は私にはないわ。どうにかしないと……」

営業時間を終えたサロンで、大阪支店の資料を広げ、絵美梨は考え込む。

他のスタッフは既に退勤し、サロンにはいつものごとく、絵美梨と要しか残っていなかった。

「募集をかけて募るにしても、やはりマネージャーとアシスタントだけは、信頼出来る人に紹介してもらえたら」

そこまで言うと、絵美梨はふとデスクに置いた封筒を手に取った。

それは昼間、戸川が帰りがけに絵美梨に差し出したもの。
グランメゾンの紹介カードとは別に、近々開催されるパーティーの招待状だった。

「戸川社長は、あらゆる業界に精通しているわよね。特に女性のお知り合いが多くて、美容業界とか、モデルや女優さんとかも。有名なスタイリストや、あとは海外の若手実業家とも交友があるし……」

じっと招待状に目を落としてから、絵美梨は顔を上げる。

「緋山。このパーティー、うかがうわ。出席のお返事をしておいて」
「かしこまりました」

そして10日後。
絵美梨は要と一緒に、戸川主催のパーティーに参加することになった。