ただそこに愛があるなら

「来年の春に大阪に支店をオープン、同じく秋に名古屋支店をオープンさせたいと思っています」

出張の翌日、絵美梨は早速サロンのスタッフに今後の展望を伝えた。

「大阪は、東京とはお客様の好みや流行りが違うと感じました。名古屋は割りと東京と似ているところがあるようです。それぞれ、これから本格的にリサーチして、お客様のニーズに合ったご提案が出来るよう、内容を詰めていきます。一番の課題はスタッフね」

絵美梨は皆をぐるりと見渡す。

「このサロンは、全てを任せられるほど優秀なスタッフばかりよ。本当にみんなには感謝しています」
「いいえ、こちらこそですよ。絵美梨さんのもとで働けるのが、私たちの幸せなんです」

そう言って乃亜がにっこり笑い、香織たちも頷いた。

「ありがとう。大阪支店も名古屋支店も、やはりスタッフが全てにおいての鍵となります。みんなのお知り合いで興味がある人がいたら、紹介してくれると嬉しいわ」
「はい、声かけてみます。ちなみに支店長は誰になるんですか?」
「まだ決めてないの。しばらくは私が現場にいて、徐々に移行出来ればいいかと」
「えー! 絵美梨さん、あっちに行っちゃうんですか? 寂しいです」

意気消沈する乃亜に、絵美梨は笑って首を振る。

「一時的によ。落ち着いたらまたここに戻って来るわ」
「一時的でも寂しいです。私もついて行っちゃおうかな。で、絵美梨さんと一緒に戻って来るの」

すると他のスタッフも「それ、いいね!」と言い出した。

「ええ? みんな、本気?」
「はい。だってオープンしてすぐが一番の勝負どころでしょ? 軌道に載せてみせますよ」

得意気に胸をそらす乃亜に、「確かに!」と皆も頷いた。

「絵美梨さん、私たちも交代で新店のオープンをお手伝いに行きます。このサロンももちろん守りながら」

香織の言葉に、絵美梨もなにやら考え込む。

「そうね、そうしてもらえると助かるわ。みんな、お願い出来る?」

はい!と声を揃える皆に、絵美梨は「ありがとう!」と微笑んだ。