午後になると50代の女性客がサロンにやって来た。
「澤井様、お待ちしておりました」
「ごきげんよう、絵美梨さん。相変わらずおきれいね」
「奥様こそ。さあ、どうぞお入りください」
「ありがとう」
澤井夫人は、古くから松島グループと親しい澤井ホールティングスの社長夫人で、絵美梨のことも幼い頃から知っている。
「このサロンも、わたくしの友人たちの間で話題になっているわよ。いつも予約がいっぱいですってね」
「ありがとうございます、おかげさまで。奥様、今夜はパーティーのお支度ですね。2階へどうぞ」
サロンの2階はヘアメイクやエステ、ネイルのコーナーとフィッティングルームがあり、トータルに女性を変身させられるスペースになっていた。
澤井夫人からは、フェイスエステとネイル、そのあとにヘアメイクとドレスレンタルのオーダーを受けている。
18時から都内の名門ホテルで催されるパーティーに出席するとのことで、時間に間に合うよう、それぞれの担当スタッフがてきぱきと施術した。
予定時刻の15分前に全ての支度が終わり、絵美梨と共に夫人が1階に下りてくる。
夜会巻きにきれいに髪を結い、シルバーのロングドレスにメイクも品の良い仕上がりだった。
「ありがとう、絵美梨さん。おかげでお肌もツヤツヤ、ネイルも華やかでとっても嬉しいわ。迎えの車が来るまで待たせてもらってもいいかしら?」
「もちろんです。こちらのソファへどうぞ」
絵美梨が夫人をソファに促し、要はすかさず紅茶を運んだ。
「澤井様、お疲れ様でございました。どうぞ」
「ありがとう、緋山さん」
顔なじみの要に微笑んでから、夫人は思い出したように声を潜めて身を乗り出した。
「ねえ、緋山さん。絵美梨さんのことなのですけどね」
「はい。いかがなさいましたか?」
「わたくしの友人の息子さんたちが、こぞって絵美梨さんとのお見合いをご希望なのよ。わたしくに仲人をって頼まれることが多くて……。どうかしら? 絵美梨さんはもうどなたかフィアンセがいらっしゃるの?」
要はにこやかな表情を崩さず、声のトーンを落とした。
「社長のプライベートに関しては、秘書の私からはなにも申し上げられませんので、どうぞご容赦ください」
「あら。ということは、緋山さんは絵美梨さんとは? わたくしはひょっとして、あなたたち二人がおつき合いされているのかと思っていたのだけど」
「めっそうもないです」
「そうなのね。それなら、わたくしの友人のご子息を絵美梨さんにご紹介しようかしら。イケメンの御曹司も多いのよ」
その時、夫人のお抱え運転手がサロンに入って来た。
「奥様、お待たせいたしました」
立ち上がった夫人を、サロンのスタッフが揃って見送りに出る。
「澤井様、本日はご利用いただき誠にありがとうございました」
「こちらこそ。きれいに仕上げてくださって大満足よ。また次回もお願いしますね」
「はい、いつでもお待ちしております。どうぞすてきなパーティーを」
「ありがとう、絵美梨さん。またご連絡するわね」
夫人を乗せた車を、スタッフ皆でお辞儀して見送った。
「澤井様、お待ちしておりました」
「ごきげんよう、絵美梨さん。相変わらずおきれいね」
「奥様こそ。さあ、どうぞお入りください」
「ありがとう」
澤井夫人は、古くから松島グループと親しい澤井ホールティングスの社長夫人で、絵美梨のことも幼い頃から知っている。
「このサロンも、わたくしの友人たちの間で話題になっているわよ。いつも予約がいっぱいですってね」
「ありがとうございます、おかげさまで。奥様、今夜はパーティーのお支度ですね。2階へどうぞ」
サロンの2階はヘアメイクやエステ、ネイルのコーナーとフィッティングルームがあり、トータルに女性を変身させられるスペースになっていた。
澤井夫人からは、フェイスエステとネイル、そのあとにヘアメイクとドレスレンタルのオーダーを受けている。
18時から都内の名門ホテルで催されるパーティーに出席するとのことで、時間に間に合うよう、それぞれの担当スタッフがてきぱきと施術した。
予定時刻の15分前に全ての支度が終わり、絵美梨と共に夫人が1階に下りてくる。
夜会巻きにきれいに髪を結い、シルバーのロングドレスにメイクも品の良い仕上がりだった。
「ありがとう、絵美梨さん。おかげでお肌もツヤツヤ、ネイルも華やかでとっても嬉しいわ。迎えの車が来るまで待たせてもらってもいいかしら?」
「もちろんです。こちらのソファへどうぞ」
絵美梨が夫人をソファに促し、要はすかさず紅茶を運んだ。
「澤井様、お疲れ様でございました。どうぞ」
「ありがとう、緋山さん」
顔なじみの要に微笑んでから、夫人は思い出したように声を潜めて身を乗り出した。
「ねえ、緋山さん。絵美梨さんのことなのですけどね」
「はい。いかがなさいましたか?」
「わたくしの友人の息子さんたちが、こぞって絵美梨さんとのお見合いをご希望なのよ。わたしくに仲人をって頼まれることが多くて……。どうかしら? 絵美梨さんはもうどなたかフィアンセがいらっしゃるの?」
要はにこやかな表情を崩さず、声のトーンを落とした。
「社長のプライベートに関しては、秘書の私からはなにも申し上げられませんので、どうぞご容赦ください」
「あら。ということは、緋山さんは絵美梨さんとは? わたくしはひょっとして、あなたたち二人がおつき合いされているのかと思っていたのだけど」
「めっそうもないです」
「そうなのね。それなら、わたくしの友人のご子息を絵美梨さんにご紹介しようかしら。イケメンの御曹司も多いのよ」
その時、夫人のお抱え運転手がサロンに入って来た。
「奥様、お待たせいたしました」
立ち上がった夫人を、サロンのスタッフが揃って見送りに出る。
「澤井様、本日はご利用いただき誠にありがとうございました」
「こちらこそ。きれいに仕上げてくださって大満足よ。また次回もお願いしますね」
「はい、いつでもお待ちしております。どうぞすてきなパーティーを」
「ありがとう、絵美梨さん。またご連絡するわね」
夫人を乗せた車を、スタッフ皆でお辞儀して見送った。



