ただそこに愛があるなら

翌日から、絵美梨は要に口をきかなくなった。

「あら? 要さん、お嬢様となにかあったの?」

浜子に聞かれても、要は答えようがない。
自分でも、どうしてこうなったのかよく分からなかった。

それゆえ、絵美梨とどう接すればいいのかも分からない。

「あの、お嬢様」

話しかけても、絵美梨はふいとそっぽを向き、サロンへと出かけてしまう。

サロンは既に年末休みに入っているが、要が入院している間に滞った仕事があるらしい。

申し訳なく思い、自分も一緒に行きますと声をかけたが、あっさり聞き流された。

かと思えば、毎晩寝る前に要の部屋にやって来て、ベッドの上の要をゴロンとうつ伏せにする。

有無を言わさずシャツをまくり上げると、優しく優しく薬を塗ってから、布団をボフッと要に掛けて部屋を出て行く。

要はうつ伏せのまま、しばし呆然とする、という流れが続いていた。