ただそこに愛があるなら

「お嬢様、元気をお出しくださいませ」

浜子に言われるが、絵美梨はいじけたように唇を尖らせる。

屋敷に戻ってきても要のことが心配で、なにもする気にならなかった。

「お嬢様、昼食もまともに召し上がっていないのでしょう? 少し早いですが、夕食にしますね」
「ありがとう」

フォークとナイフでチキンソテーを食べながら、またしても要のことを思い出す。

(要くん、痛くて身体を起こせないのに、食事はどうしてるのかな? 彼女がいるならと思ってたけど、いないのなら誰がついていてあげるの?)

出来れば介助したいが、面会は1日2時間程度で18時まで、というのが病院の決まりらしい。

(私のせいで大怪我をしたのに、なにも出来ないなんて……)

ため息をついてから、ふとひらめいた。

「浜子さん、タクシーを呼んでくれる? 食事を終えたらすぐに出かけるわ」
「ええー!? こんな時間にどちらへ?」
「病院!」

そう言うと絵美梨は急いで食べ終え、病院に電話をかけた。