ただそこに愛があるなら

面会を終えて病院をあとにすると、絵美梨は警察に事情を聞かれる。

犯人の女は戸川社長の熱狂的なファンで、テレビのインタビューやSNSを見て、戸川社長と親しげな絵美梨に嫉妬するようになった。

歪んだ思いは日に日に増していき、絵美梨のきれいな身体に傷をつけてやりたいと狙ったらしい。

殺意はなく、要が割り込んできたことによって、予想以上に大きな傷となってしまったと主張しているそうで、殺人未遂ではなく傷害罪にしか問えないだろうとのこと。

「それから、戸川さんにも警察から連絡を取りました。戸川さんは、あなたと話がしたい、緋山さんのお見舞いにも行きたいと言っています。どうしますか?」

警察官に尋ねられて、絵美梨は小さく首を振る。

「今は……とにかくそっとしておいてください。怪我の回復だけを考えたいと思います」
「分かりました、そう戸川さんに伝えておきます」

屋敷に帰ると、憔悴した絵美梨を浜子も心配そうに気遣った。

「お嬢様、とにかく今夜はお休みください。お嬢様までお身体を壊してはいけませんから」
「ありがとう、浜子さん」

ベッドに入ると、絵美梨はずっと気になっていたことを思い出す。

(要くんの彼女には、どうやって連絡すればいいのかしら)

要の両親に聞こうかとも思ったが、プライベートなことを勝手に話すのも気が引けた。

(もしおば様たちがご存じなら、既に彼女にも連絡しているはずよね)

そうであってほしい。
そしてきちんと自分の口から謝りたい。

絵美梨はそう考えながら、眠れぬ夜を過ごしていた。