◇
その頃、関野と二人きりになった絵美梨は、内心困り果てていた。
(奥様も帰ってしまったし、これから二人でどうしろっていうの?)
うつむいて眉根を寄せていると、どうやらおしとやかに見えたらしい。
「絵美梨さん、お手をどうぞ」
先を歩いていた関野立ち止まり、そう言って手を差し出してきた。
「ありがとうございます」
絵美梨は右手を差し出そうとして、あれ?と気づく。
関野は右手を絵美梨に差し出していた。
慌てて絵美梨は、左手を関野の右手に重ねる。
(えっと、なんか……慣れない)
こういう時、要はいつも左手を差し出し、絵美梨の右手を支えてくれていた。
いつの間にか、自然とそれに慣れていたらしい。
ぎこちなく左手を引かれて歩き出したが、関野は妙に手を高く持ち上げる。
(なに? 社交ダンスの大会じゃないんだから。それに私、振り袖なんですけど……)
顔の位置まで手を上げられ、とにかく歩きづらい。
これなら一人で歩いた方が楽だった。
「絵美梨さん、ひょっとして緊張されてますか?」
全くそんなことはないが、「いえ……」と言葉を濁したところ、関野は「しおらしくて、可愛らしいなぁ」と目尻を下げる。
「日本庭園に和装の絵美梨さんが美しく映えますね。お写真お撮りしますよ」
ようやく手を解放され、絵美梨はホッとする。
するといきなり関野は、カシャッと絵美梨の写真を撮った。
(えっ!?)
驚いて顔を上げると、またしてもカシャカシャと撮影される。
(ええ!?)
関野は絵美梨の戸惑いを意に介さず、「うん、いい写真だ」と満足気に笑う。
「絵美梨さん、ティーラウンジでお茶でも飲みましょうか」
そう言うと、再び絵美梨の左手を取り、やたら高く持ち上げて歩き出す。
絵美梨は右手で左の袖を押さえつつ、大きな歩幅でスタスタと歩く関野に引かれながら、つまずかないように足元を気にしていた。
その頃、関野と二人きりになった絵美梨は、内心困り果てていた。
(奥様も帰ってしまったし、これから二人でどうしろっていうの?)
うつむいて眉根を寄せていると、どうやらおしとやかに見えたらしい。
「絵美梨さん、お手をどうぞ」
先を歩いていた関野立ち止まり、そう言って手を差し出してきた。
「ありがとうございます」
絵美梨は右手を差し出そうとして、あれ?と気づく。
関野は右手を絵美梨に差し出していた。
慌てて絵美梨は、左手を関野の右手に重ねる。
(えっと、なんか……慣れない)
こういう時、要はいつも左手を差し出し、絵美梨の右手を支えてくれていた。
いつの間にか、自然とそれに慣れていたらしい。
ぎこちなく左手を引かれて歩き出したが、関野は妙に手を高く持ち上げる。
(なに? 社交ダンスの大会じゃないんだから。それに私、振り袖なんですけど……)
顔の位置まで手を上げられ、とにかく歩きづらい。
これなら一人で歩いた方が楽だった。
「絵美梨さん、ひょっとして緊張されてますか?」
全くそんなことはないが、「いえ……」と言葉を濁したところ、関野は「しおらしくて、可愛らしいなぁ」と目尻を下げる。
「日本庭園に和装の絵美梨さんが美しく映えますね。お写真お撮りしますよ」
ようやく手を解放され、絵美梨はホッとする。
するといきなり関野は、カシャッと絵美梨の写真を撮った。
(えっ!?)
驚いて顔を上げると、またしてもカシャカシャと撮影される。
(ええ!?)
関野は絵美梨の戸惑いを意に介さず、「うん、いい写真だ」と満足気に笑う。
「絵美梨さん、ティーラウンジでお茶でも飲みましょうか」
そう言うと、再び絵美梨の左手を取り、やたら高く持ち上げて歩き出す。
絵美梨は右手で左の袖を押さえつつ、大きな歩幅でスタスタと歩く関野に引かれながら、つまずかないように足元を気にしていた。



