ただそこに愛があるなら

2週間後。
まずは澤井夫人の立ち会いのもと、松島グループのホテルの料亭で、お見合いの席が設けられた。

絵美梨は朝から屋敷の和室で、浜子に振り袖を着付けてもらう。

11月末と言うこともあり、冬の訪れを感じさせる白地に赤い椿のコントラストが美しい振り袖を選んだ。

「いつの間にか、母さんそっくりになったな」

振り袖姿の絵美梨を見て、父が感慨深げに言い、浜子も頷く。

「絵美梨、お見合いは前向きに考えているのか?」

父に聞かれて、絵美梨は首を振った。

「いいえ。澤井の奥様にどうしてもと言われて」
「そうか。父さんは絵美梨が自分で選んだ相手なら、結婚は祝福する。だけど、そうでないなら反対だ。いいか? 仕事のつき合いとか家柄のことなど、一切気にしなくていいからな」
「ありがとう、お父様。行ってまいります」

浜子が開けた玄関から外に出ると、横づけされた車の前で、うやうやしく要がお辞儀をする。

「おはようございます。お嬢様の和装、久しぶりに拝見しました。大変お似合いです」
「ありがとう、緋山」

浜子に「お嬢様、行ってらっしゃいませ」と見送られ、要の運転でホテルへ向かった。