ただそこに愛があるなら

フィッティングルームで着替えてから現れた由美に、スタッフはうっとりと見惚れた。

「ひゃー、すてき! 由美さん、なんかオーラが違います」
「そう? この服を着ると、自然と身が引きしまる気がして。形から入るのもアリなのね」
「普段からじゃんじゃんオシャレを楽しんでくださいね」
「でも、お店でどういう服を選べばいいのか分からなくて……」

すると絵美梨は、正方形のたくさんの布をまとめたカラーサンプルを手にした。

「由美さんに似合う色を見つけてみましょうか。ドレッサーにどうぞ」

そう言って由美を再びドレッサーに促す。

「これから由美さんの胸元で、このカラーサンプルを次々とめくりますね。ご自分のイメージに合う色を考えながら見ていてください」
「分かりました。なんだか楽しそう」

ふふっと笑ってから、絵美梨は由美の顔の下にサンプルを当てて、一枚ずつめくっていく。

「わあ、顔色が違って見えますね。やだ、パステルカラーは浮いちゃって恥ずかしい。モノトーンは暗い雰囲気になっちゃいますね」
「年齢やその時のヘアメイクによっても変わりますが、今の由美さんには、このサーモンピンクとかブラウン系のあたたかみのある色がお似合いかと」
「はい、なんだかしっくりきます」
「ええ。普段のお洋服も、こういう暖色系のものを選ぶといいと思います」
「そうですね、とっても参考になりました。これからお買い物も楽しめそう」
「それなら良かったです」

和やかな雰囲気で支度を終え、1階に下りると、またもや戸川が驚いて目を見開く。

「これはまた、いい意味で予想を裏切られました。女性って、どんどん美しくなるんですね。由美さん、今日のデートは自信を持って、思い切り楽しんでくださいね」
「はい、ありがとうございます」

絵美梨たちスタッフも、「行ってらっしゃい! 楽しい時間を」と笑顔で由美を見送った。