ただそこに愛があるなら

「よろしくお願いします……」

それからしばらくして、今回プロデュースすることになった本人が、戸川社長に連れられてサロンにやって来た。

由美(ゆみ)と名乗る女性は、うつむいたまま消え入るような声で挨拶する。

「由美さんですね、初めまして。サロン・ド・エクセルシアへようこそ。店長の松島と申します」

絵美梨が笑顔で右手を差し出し、握手を求めると、由美はおずおずとその手を握った。

「ここにいるスタッフ全員が、あなたとお会いするのを楽しみにしていました。どうぞよろしくお願いします」

にこやかに絵美梨がそう言うと、由美は「え?」と顔を上げる。

「あの……、どうして私なんかと会うのが、楽しみだったんですか?」
「あなたの幸せのお手伝いをしたい、そう思っているからです」
「…………」

由美は堅い表情のまま口ごもる。
なにをどう言えばいいのか、分からないようだった。

「さあ、では早速2階へどうぞ。まずはヘアメイクから始めましょう」

絵美梨が案内し、由美と撮影担当の女性スタッフと一緒に2階への階段を上がる。

戸川はそのまま1階のソファで待つことになった。