「私のあなたへの想いを、この花束に込めました。白いバラは、あなたの心の純粋さ、ピンクはあなたの輝くような美しさ、オレンジはあなたの無邪気な明るさ、紫はあなたの凛とした気品、そして赤いバラは……」
要は視線を上げて、真っ直ぐ絵美梨の瞳を射貫く。
「私のあなたへの愛の証です」
絵美梨はハッと目を見開いた。
要は優しく微笑んで言葉を続ける。
「今はまだ、私はあなたにふさわしくない。あなたの隣にいる資格もない。だけど必ずあなたを守る強さを手に入れ、生涯かけてあなたをそばで守り抜く。その誓いを込めて、このバラをあなたに贈ります。私が今持てる全ての愛を、あなたに」
みるみるうちに潤んだ絵美梨のきれいな瞳から、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「受け取っていただけますか?」
要が花束を差し出すと、絵美梨は真剣な表情で首を振る。
え……と要は動きを止めた。
拒まれたことにショックを隠し切れないでいると、絵美梨は涙を溜めた瞳で要を見上げた。
「どうして『私はあなたにふさわしくない』なんて言うの? 『あなたの隣にいる資格もない』なんて、誰がそんなことを決めたの? あなたはこれまでも、ずっと私を守ってきてくれた。私にはあなたしかいないの」
「お嬢様……」
「今、あなたの心の中にはなにがあるの? 迷い? 不安? それとも恐れ?」
「いいえ。今はただ、あなたへの愛で溢れています」
「それなら……私にはそれで充分です。愛があるならそれだけで、私は充分幸せなの」
絵美梨の言葉は要の胸を打ち震わせる。
込み上げる涙を必死でこらえていると、絵美梨は、ふふっと微笑んで呟いた。
「What’s in a name? That which we call a rose. By any other name would smell as sweet.」
それはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の有名なセリフ。
名前なんてなんの意味があるの? たとえバラを別の名前で呼んでも、その甘い香りは変わらないでしょうと、ジュリエットがロミオに語るその言葉に、絵美梨の答えがあった。
ありのままのあなたでいい、と。
「要くん、受け取ってもいい?」
「はい」
そっと視線を上げて尋ねる絵美梨に頷いて、要は花束を差し出した。
「ありがとう。いい香り」
バラに顔を寄せて優しく笑う絵美梨に、要は言葉もなく見惚れる。
「すてきな誕生日になったな。でも……もう1つプレゼントをお願いしてもいい?」
上目遣いに聞かれて、要はドキッとしながら頷いた。
「はい、なんでしょう? ご用意出来るものでしたら」
「絵美梨って、呼んで?」
「えっ」
要の頬はみるみるうちに赤くなる。
「だめ?」
「いえ、とんでもない。大丈夫です」
そうは言ったものの、期待の眼差しで見つめられ、間が空けば空くほどハードルが上がった。
「要くん?」
「はい、えっと……絵美梨さん」
「ヤダ! 呼び捨てがいい」
「そんな、お嬢様を呼び捨てになど」
「……私への愛があるなんて、嘘だったの?」
「いえ、あります。愛だけは溢れるほど」
「愛があるなら呼べるでしょ? さん付けなんて、よそよそしいもの」
そうまで言われては仕方ない。
要は覚悟を決めて絵美梨を見つめる。
だが顔を見てしまうとどうにも怯んでしまい、絵美梨の視線から逃れるように、思わず両腕で抱きしめた。
「……絵美梨」
耳元でささやくと、腕の中の絵美梨が息を呑む。
「要くん……」
絵美梨は切なげに名を呼ぶと、おずおずと要の背中に手を回して抱きついた。
込み上げる愛おしさのまま、要も絵美梨をギュッと抱きしめる。
「絵美梨、愛してる」
「要くん……。私もあなたが大好きなの」
幸せで胸がしびれ、痛いほど締めつけられる。
互いの温もりと、交わし合う愛情。
切なくて愛おしい。
「絵美梨。誕生日プレゼント、もう1つ受け取ってくれる?」
「えっ、なあに?」
顔を上げた絵美梨を、要は優しく見つめる。
その頬に右手を添えると、ゆっくりと顔を寄せ、要は絵美梨の唇にそっとキスをした。
胸の奥がジンとしたあと、幸せが身体中に広がる。
やがて唇を離すと、絵美梨は小さく吐息をもらしてから、恥ずかしそうに要の胸に顔をうずめた。
「ずっと、ずっと絵美梨だけを見てきた。小さい頃からずっと。可愛くて、愛おしくて、いつの間にか惚れ惚れするほど美しくかっこ良くなって。絵美梨以外、誰も目に入らない」
「そんな……。私もずっと、要くんだけを想ってたの。いつもそばにいてくれて、守ってくれて、優しくて頼もしくて。絶対好きになってもらえないっていじけてたけど、諦めなくて良かった」
「いじけてたの? そんな絵美梨も可愛いな」
「えっ、ひどーい!」
むくれる絵美梨に、要は笑う。
「ごめん。改めて絵美梨、26歳の誕生日おめでとう」
「ありがとう、要くん。人生で1番幸せな日になりました」
にっこり微笑む絵美梨に頬を緩めてから、要はもう一度、愛を込めて優しいキスを贈った。
要は視線を上げて、真っ直ぐ絵美梨の瞳を射貫く。
「私のあなたへの愛の証です」
絵美梨はハッと目を見開いた。
要は優しく微笑んで言葉を続ける。
「今はまだ、私はあなたにふさわしくない。あなたの隣にいる資格もない。だけど必ずあなたを守る強さを手に入れ、生涯かけてあなたをそばで守り抜く。その誓いを込めて、このバラをあなたに贈ります。私が今持てる全ての愛を、あなたに」
みるみるうちに潤んだ絵美梨のきれいな瞳から、大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「受け取っていただけますか?」
要が花束を差し出すと、絵美梨は真剣な表情で首を振る。
え……と要は動きを止めた。
拒まれたことにショックを隠し切れないでいると、絵美梨は涙を溜めた瞳で要を見上げた。
「どうして『私はあなたにふさわしくない』なんて言うの? 『あなたの隣にいる資格もない』なんて、誰がそんなことを決めたの? あなたはこれまでも、ずっと私を守ってきてくれた。私にはあなたしかいないの」
「お嬢様……」
「今、あなたの心の中にはなにがあるの? 迷い? 不安? それとも恐れ?」
「いいえ。今はただ、あなたへの愛で溢れています」
「それなら……私にはそれで充分です。愛があるならそれだけで、私は充分幸せなの」
絵美梨の言葉は要の胸を打ち震わせる。
込み上げる涙を必死でこらえていると、絵美梨は、ふふっと微笑んで呟いた。
「What’s in a name? That which we call a rose. By any other name would smell as sweet.」
それはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の有名なセリフ。
名前なんてなんの意味があるの? たとえバラを別の名前で呼んでも、その甘い香りは変わらないでしょうと、ジュリエットがロミオに語るその言葉に、絵美梨の答えがあった。
ありのままのあなたでいい、と。
「要くん、受け取ってもいい?」
「はい」
そっと視線を上げて尋ねる絵美梨に頷いて、要は花束を差し出した。
「ありがとう。いい香り」
バラに顔を寄せて優しく笑う絵美梨に、要は言葉もなく見惚れる。
「すてきな誕生日になったな。でも……もう1つプレゼントをお願いしてもいい?」
上目遣いに聞かれて、要はドキッとしながら頷いた。
「はい、なんでしょう? ご用意出来るものでしたら」
「絵美梨って、呼んで?」
「えっ」
要の頬はみるみるうちに赤くなる。
「だめ?」
「いえ、とんでもない。大丈夫です」
そうは言ったものの、期待の眼差しで見つめられ、間が空けば空くほどハードルが上がった。
「要くん?」
「はい、えっと……絵美梨さん」
「ヤダ! 呼び捨てがいい」
「そんな、お嬢様を呼び捨てになど」
「……私への愛があるなんて、嘘だったの?」
「いえ、あります。愛だけは溢れるほど」
「愛があるなら呼べるでしょ? さん付けなんて、よそよそしいもの」
そうまで言われては仕方ない。
要は覚悟を決めて絵美梨を見つめる。
だが顔を見てしまうとどうにも怯んでしまい、絵美梨の視線から逃れるように、思わず両腕で抱きしめた。
「……絵美梨」
耳元でささやくと、腕の中の絵美梨が息を呑む。
「要くん……」
絵美梨は切なげに名を呼ぶと、おずおずと要の背中に手を回して抱きついた。
込み上げる愛おしさのまま、要も絵美梨をギュッと抱きしめる。
「絵美梨、愛してる」
「要くん……。私もあなたが大好きなの」
幸せで胸がしびれ、痛いほど締めつけられる。
互いの温もりと、交わし合う愛情。
切なくて愛おしい。
「絵美梨。誕生日プレゼント、もう1つ受け取ってくれる?」
「えっ、なあに?」
顔を上げた絵美梨を、要は優しく見つめる。
その頬に右手を添えると、ゆっくりと顔を寄せ、要は絵美梨の唇にそっとキスをした。
胸の奥がジンとしたあと、幸せが身体中に広がる。
やがて唇を離すと、絵美梨は小さく吐息をもらしてから、恥ずかしそうに要の胸に顔をうずめた。
「ずっと、ずっと絵美梨だけを見てきた。小さい頃からずっと。可愛くて、愛おしくて、いつの間にか惚れ惚れするほど美しくかっこ良くなって。絵美梨以外、誰も目に入らない」
「そんな……。私もずっと、要くんだけを想ってたの。いつもそばにいてくれて、守ってくれて、優しくて頼もしくて。絶対好きになってもらえないっていじけてたけど、諦めなくて良かった」
「いじけてたの? そんな絵美梨も可愛いな」
「えっ、ひどーい!」
むくれる絵美梨に、要は笑う。
「ごめん。改めて絵美梨、26歳の誕生日おめでとう」
「ありがとう、要くん。人生で1番幸せな日になりました」
にっこり微笑む絵美梨に頬を緩めてから、要はもう一度、愛を込めて優しいキスを贈った。



