ただそこに愛があるなら

「やーん、あなたが絵美梨ちゃんね? なんて美人さんなの」

30分後に戸川と一緒にサロンに現れたマッチョな体格の今池は、絵美梨を見るなり熱烈なハグをする。

「お会い出来て嬉しいわ。見た目はイケメン、中身は乙女の今池素直よー」
「ふふふ、初めまして。松島絵美梨と申します」
「可愛いー! ふふふ、だって。なんてキュートな笑顔なの。大好きよー」

ムギューっと抱きついて絵美梨に頬を寄せる今池に、要はどうしたものかとソワソワした。

(ちょ、待て! 初対面でいきなりお嬢様に抱きつくとは……)

こんなにも濃いキャラの人物とは会ったことがなく、要は対処に困った。

だが絵美梨は嫌がる素振りもなく、楽しそうに笑っている。

「早速中にご案内いたしますね。どうぞこちらへ」
「はーい。どこまでも絵美梨ちゃんについて行くわ」

今池は、ピタリと絵美梨に寄り添って歩き出す。

要がその後ろ姿に目をやっていると、隣でクスッと戸川が笑った。

「敏腕秘書の緋山さんでも、そんなに困ったりするんですね。眉間にしわが寄ってますよ」
「いえ、そういう訳では」
「まあ、そういうことにしておきましょうか」

なにやら含んだ言い方をしてから、戸川もサロンに入った。