「殿下には、あの方しかいません。
むしろ……あの方以外は、受け付けません」
「レイがそこまで言うのは珍しいな」
殿下は苦笑混じりに肩をすくめた。
「契約が終わったら、解放しろと言い出すかと思っていたよ」
「……最初は、そう思っていました」
正直に答える。
「ですが、考えが変わりました」
一度言葉を選び、静かに続けた。
「私は――あの方に、殿下と並んで歩いてほしいと思ったのです」
殿下が、こちらをまっすぐに見る。
「殿下の本質を知った上で、それでも隣に立とうとする人。
守られるだけではなく、共に戦おうとする方です」
自然と、口元が緩んだ。
「……優しくて、少し不器用で、可愛らしい方でもある」
殿下は小さく息を吐き、楽しそうに笑った。
「そりゃあ、もちろんそのつもりだよ」
不敵に口角を上げる。
「俺が、逃すと思うかい?」
「……いえ」
私は静かに首を振った。
「殿下が、そう簡単に手放す方ではないことは――
誰よりも、私がよく知っております」
静かに息を吐いた。
彼女は、肩書きでも噂でもなく。
結果と行動だけを見て、人を評価する。
それは殿下が最も欲し、
そして最も得られなかった評価の仕方だった。
蝶の会のときも、そうだ。
殿下は自らのやり方を一切隠さず、最後まで逃げ道を示した。
まだ引き返せる。無理をする必要はない――と。
それが彼の優しさであることを、
ティアナ様は正しく理解していた。
……口では「好きではない」と言いながら。
殿下の心も、
そして未来も。
あの方の隣にこそあるのだと。
私は、疑いなく――そう確信していた。
私は、静かに言葉を継ぐ。
「……殿下
彼女を失えば、殿下は二度と同じ選択ができなくなります」
沈黙が落ちた。
やがて殿下は、困ったように笑った。
「レイにそこまで言わせる人物を俺は知らないな」
「事実です」
「……そうだね」
殿下は椅子にもたれる。
むしろ……あの方以外は、受け付けません」
「レイがそこまで言うのは珍しいな」
殿下は苦笑混じりに肩をすくめた。
「契約が終わったら、解放しろと言い出すかと思っていたよ」
「……最初は、そう思っていました」
正直に答える。
「ですが、考えが変わりました」
一度言葉を選び、静かに続けた。
「私は――あの方に、殿下と並んで歩いてほしいと思ったのです」
殿下が、こちらをまっすぐに見る。
「殿下の本質を知った上で、それでも隣に立とうとする人。
守られるだけではなく、共に戦おうとする方です」
自然と、口元が緩んだ。
「……優しくて、少し不器用で、可愛らしい方でもある」
殿下は小さく息を吐き、楽しそうに笑った。
「そりゃあ、もちろんそのつもりだよ」
不敵に口角を上げる。
「俺が、逃すと思うかい?」
「……いえ」
私は静かに首を振った。
「殿下が、そう簡単に手放す方ではないことは――
誰よりも、私がよく知っております」
静かに息を吐いた。
彼女は、肩書きでも噂でもなく。
結果と行動だけを見て、人を評価する。
それは殿下が最も欲し、
そして最も得られなかった評価の仕方だった。
蝶の会のときも、そうだ。
殿下は自らのやり方を一切隠さず、最後まで逃げ道を示した。
まだ引き返せる。無理をする必要はない――と。
それが彼の優しさであることを、
ティアナ様は正しく理解していた。
……口では「好きではない」と言いながら。
殿下の心も、
そして未来も。
あの方の隣にこそあるのだと。
私は、疑いなく――そう確信していた。
私は、静かに言葉を継ぐ。
「……殿下
彼女を失えば、殿下は二度と同じ選択ができなくなります」
沈黙が落ちた。
やがて殿下は、困ったように笑った。
「レイにそこまで言わせる人物を俺は知らないな」
「事実です」
「……そうだね」
殿下は椅子にもたれる。

