「……不器用だと?」
「ほら、距離感とか。近すぎたり遠すぎたりしそうで」
「余計な心配だ」
ディランはレオの持つ器に手を伸ばす。
「彼女は俺の婚約者だ」
「それって契約上でしょ?」
レオは器をひょいと引いた。
「婚約者って言葉で独占しないでくださいよ」
「独占ではない。保護だ」
「言い方がもう独占なんですよ!」
2人の間で、スプーンが宙に浮く。
「俺が食べさせる」
「俺です!」
「殿下は威圧感がある」
「レオは軽すぎる」
「軽くて結構!」
視線がばちばちと火花を散らす。
「……」
私は開きかけた口をそっと閉じた。
「殿下、力入れすぎです」
「レオは近づきすぎだ」
「お嬢さんが緊張するでしょ!」
「俺のほうが安心するはずだ」
「聞きました!? 本人に聞きました!?」
2人同時に、私を見る。
「ティアナ、どちらが――」
「お嬢さん、どっちが――」
さすがに限界だ。
「……ふたりとも」
静かな声。
だが、ぴたりと空気が止まる。
「出てってください」
「……え」
「今すぐです」
感情を抑え淡々と告げる。
レオが最初に我に返る。
「す、すみません……」
「申し訳ない」
ディランも深く頭を下げた。
「少し、うるさかったですね」
「……少しじゃない」
私は布団をぎゅっと握る。
「食べるどころじゃない」
2人は顔を見合わせ、同時に視線を逸らした。
「……廊下で反省してきます」
「俺もだ」
そろって扉へ向かう背中に、私は小さく付け加える。
「戻ってくるときは……静かにしてください」
「はい……」
「心得た……」
扉が閉まる。
ようやく訪れた静寂の中、
りんごゼリーだけが、テーブルの上で静かに揺れていた。
「ほら、距離感とか。近すぎたり遠すぎたりしそうで」
「余計な心配だ」
ディランはレオの持つ器に手を伸ばす。
「彼女は俺の婚約者だ」
「それって契約上でしょ?」
レオは器をひょいと引いた。
「婚約者って言葉で独占しないでくださいよ」
「独占ではない。保護だ」
「言い方がもう独占なんですよ!」
2人の間で、スプーンが宙に浮く。
「俺が食べさせる」
「俺です!」
「殿下は威圧感がある」
「レオは軽すぎる」
「軽くて結構!」
視線がばちばちと火花を散らす。
「……」
私は開きかけた口をそっと閉じた。
「殿下、力入れすぎです」
「レオは近づきすぎだ」
「お嬢さんが緊張するでしょ!」
「俺のほうが安心するはずだ」
「聞きました!? 本人に聞きました!?」
2人同時に、私を見る。
「ティアナ、どちらが――」
「お嬢さん、どっちが――」
さすがに限界だ。
「……ふたりとも」
静かな声。
だが、ぴたりと空気が止まる。
「出てってください」
「……え」
「今すぐです」
感情を抑え淡々と告げる。
レオが最初に我に返る。
「す、すみません……」
「申し訳ない」
ディランも深く頭を下げた。
「少し、うるさかったですね」
「……少しじゃない」
私は布団をぎゅっと握る。
「食べるどころじゃない」
2人は顔を見合わせ、同時に視線を逸らした。
「……廊下で反省してきます」
「俺もだ」
そろって扉へ向かう背中に、私は小さく付け加える。
「戻ってくるときは……静かにしてください」
「はい……」
「心得た……」
扉が閉まる。
ようやく訪れた静寂の中、
りんごゼリーだけが、テーブルの上で静かに揺れていた。

