殿下とレイが帰っていったあと、応接室には静けさだけが残った。
……やってしまった。
まさか殿下まで乱入してくるとは思わなかった。
私は深くため息をつく。
その一方で、当のお嬢様はというと――
レイから聞き出した筋トレメニューを、ノートにびっしり書き写しながら満足げに頷いている。
「ふふ……これ、すごく効きそう……」
完全にご機嫌だ。
はああ……。
◇
そして後日、レイから聞いた話によると――
「殿下が、私の筋トレメニューを始められました」
「……殿下が?」
レイは苦笑しながら頷いた。
「“ティアナ様が惚れ惚れする身体を作る”と仰ってまして」
あの殿下が、レイのメニューを真剣にこなしている姿を想像してしまい、思わず吹き出しそうになる。
レイは肩をすくめた。
「レイさんも苦労してますね」
「ええ、でも楽しそうなので良しとします」
レイさんがふっと笑う。
お嬢様は筋肉談義に夢中になり、殿下は対抗心を燃やし、レイは巻き込まれ、私はその後始末。
伯爵家の廊下で起きた騒動は、こうして静かに幕を閉じた。
けれど、きっとまた近いうちに――
お嬢様はレイに筋肉の話を聞きに行くのだろう。
その時はまた、私が止める役目になるのだろう。
……はあ。
でもまあ、
お嬢様が楽しそうなら、それでいい。
……やってしまった。
まさか殿下まで乱入してくるとは思わなかった。
私は深くため息をつく。
その一方で、当のお嬢様はというと――
レイから聞き出した筋トレメニューを、ノートにびっしり書き写しながら満足げに頷いている。
「ふふ……これ、すごく効きそう……」
完全にご機嫌だ。
はああ……。
◇
そして後日、レイから聞いた話によると――
「殿下が、私の筋トレメニューを始められました」
「……殿下が?」
レイは苦笑しながら頷いた。
「“ティアナ様が惚れ惚れする身体を作る”と仰ってまして」
あの殿下が、レイのメニューを真剣にこなしている姿を想像してしまい、思わず吹き出しそうになる。
レイは肩をすくめた。
「レイさんも苦労してますね」
「ええ、でも楽しそうなので良しとします」
レイさんがふっと笑う。
お嬢様は筋肉談義に夢中になり、殿下は対抗心を燃やし、レイは巻き込まれ、私はその後始末。
伯爵家の廊下で起きた騒動は、こうして静かに幕を閉じた。
けれど、きっとまた近いうちに――
お嬢様はレイに筋肉の話を聞きに行くのだろう。
その時はまた、私が止める役目になるのだろう。
……はあ。
でもまあ、
お嬢様が楽しそうなら、それでいい。

