「……殿下の話も、聞かせてください」
自分からそう言ったことに、
少し驚きつつも。
「うん、いいよ」
今度は、ディランが語り出す。
彼の視点から見た、お嬢様との出会い。
出会った頃のお嬢様は、
すでに馬術や剣術に触れていたらしい。
「変わった子だな、って思ってた」
「……確かに」
思わず同意してしまう。
「普通の令嬢とはさ、全く違って」
「剣の腕も、馬の扱いも、
驚くほど上達してた」
その言葉に、
胸に浮かぶのは、何度も背中を追いかけた記憶。
「私もです」
自然と、そう口にしていた。
「いつも前を行くお嬢様に、
圧倒されていました」
追いつきたくて、
置いていかれたくなくて。
だから剣を取り、ここまで来た。
(……結局)
この人も、俺も、
同じ背中を見てきたのかもしれない。
「お互い、彼女に骨抜きにされてるな」
ディランはそう言って、天井を仰いだ。
「……そうですね」
短く返しながら、
否定する気はなかった。
(骨抜き、か)
確かにその通りだ。
誇張でも冗談でもない。
「で、セナ。君は――」
一拍置いて、にやりと笑う。
「ティアナの、どこが好きなんだい?」
ピクリ、と眉が動く。
「……随分と直球ですね」
「酒の席だからね」
ディランは肩をすくめた。
俺はグラスを置き、少しだけ視線を落とす。
迷いは、ほとんどなかった。
「……強いところです」
即答だった。
「剣が強いとか、魔力がどうこうじゃない。
怖くても逃げない。
自分が傷つく可能性があっても、誰かの前に立つ」
言葉を選びながら、続ける。
「それでいて……
自分が強いなんて、微塵も思っていない」
小さく、息を吐いた。
「自然と誰かのために動いて、
それを特別なことだと思わない。
……そういうところです」
ディランは、黙って聞いていた。
やがて、くつくつと喉を鳴らす。
「なるほど」
そして、少し楽しそうに言った。
「君らしい答えだ」
自分からそう言ったことに、
少し驚きつつも。
「うん、いいよ」
今度は、ディランが語り出す。
彼の視点から見た、お嬢様との出会い。
出会った頃のお嬢様は、
すでに馬術や剣術に触れていたらしい。
「変わった子だな、って思ってた」
「……確かに」
思わず同意してしまう。
「普通の令嬢とはさ、全く違って」
「剣の腕も、馬の扱いも、
驚くほど上達してた」
その言葉に、
胸に浮かぶのは、何度も背中を追いかけた記憶。
「私もです」
自然と、そう口にしていた。
「いつも前を行くお嬢様に、
圧倒されていました」
追いつきたくて、
置いていかれたくなくて。
だから剣を取り、ここまで来た。
(……結局)
この人も、俺も、
同じ背中を見てきたのかもしれない。
「お互い、彼女に骨抜きにされてるな」
ディランはそう言って、天井を仰いだ。
「……そうですね」
短く返しながら、
否定する気はなかった。
(骨抜き、か)
確かにその通りだ。
誇張でも冗談でもない。
「で、セナ。君は――」
一拍置いて、にやりと笑う。
「ティアナの、どこが好きなんだい?」
ピクリ、と眉が動く。
「……随分と直球ですね」
「酒の席だからね」
ディランは肩をすくめた。
俺はグラスを置き、少しだけ視線を落とす。
迷いは、ほとんどなかった。
「……強いところです」
即答だった。
「剣が強いとか、魔力がどうこうじゃない。
怖くても逃げない。
自分が傷つく可能性があっても、誰かの前に立つ」
言葉を選びながら、続ける。
「それでいて……
自分が強いなんて、微塵も思っていない」
小さく、息を吐いた。
「自然と誰かのために動いて、
それを特別なことだと思わない。
……そういうところです」
ディランは、黙って聞いていた。
やがて、くつくつと喉を鳴らす。
「なるほど」
そして、少し楽しそうに言った。
「君らしい答えだ」

