「次までに、姿勢を直せ。
何十回、何百回もやれ!」
エリックは容赦がない。
「頭にこの本を乗せろ。
絶対に落とすな。
それができるようになるまでだ!!」
……無茶だろ、と思った。
でも――
「わかった」
俺は、言われた通りにやった。
何時間も。
何日も。
特訓の合間をぬって…。
本を頭に乗せて、歩いて、止まって、向きを変える。
落ちたら、最初から。
剣の素振りと同じだ。
地味で、単調で、逃げ場がない。
それでも。
「……なかなか、よくなったな」
ぽつりと、エリックが言った。
「ほんと?」
「エリックが言ったこと、
全部やってる。
毎日、何時間も」
「……あの量を、か」
「あたりまえ」
エリックは、何も言わずに口を噤んだ。
その様子を見ていたオリバー団長が、
ぽん、とエリックの肩を叩いて言う。
「すごいぞ、テオ。
エリックの厳しい指導に耐えて、
しかも“言われた以上”にやっている」
一拍おいて、穏やかに続けた。
「……お嬢様が、そばに置くわけだ」
その言葉が、胸に落ちた。
あたたかくて、
少しだけ、誇らしい。
オリバー団長と、2人きりになる。
周囲の気配が遠のいで、
静かな時間が流れた。
「……だいぶ、様になってきたな」
「そうだと、いいけど……」
「謙遜するな」
オリバー団長は、少しだけ口元を緩めた。
「あのエリックの指導についていける騎士は、
第2騎士団でも多くはない」
「そうですか?」
「ああ。
あいつは、自分にも厳しいが――
他人にも厳しいからな」
なるほど、と納得する。
「でも……」
俺は、正直な気持ちを口にした。
「エリックが言っていたことは、全部正しい」
オリバー団長が、意外そうにこちらを見る。
「実際、ダンスは上手い。
立ち方も、視線も、間の取り方も」
そう言うと、
オリバー団長は小さく笑った。
「……わかっているな」
一歩、間を置いて、続ける。
「厳しい指導を“ただの苦行”で終わらせるか、
“糧”にできるかは、受ける側次第だ」
その視線は、試すようでもあり、
認めているようでもあった。
「お前は、後者だな。テオ」
胸の奥が、静かに熱くなる。
「……どうも」
何十回、何百回もやれ!」
エリックは容赦がない。
「頭にこの本を乗せろ。
絶対に落とすな。
それができるようになるまでだ!!」
……無茶だろ、と思った。
でも――
「わかった」
俺は、言われた通りにやった。
何時間も。
何日も。
特訓の合間をぬって…。
本を頭に乗せて、歩いて、止まって、向きを変える。
落ちたら、最初から。
剣の素振りと同じだ。
地味で、単調で、逃げ場がない。
それでも。
「……なかなか、よくなったな」
ぽつりと、エリックが言った。
「ほんと?」
「エリックが言ったこと、
全部やってる。
毎日、何時間も」
「……あの量を、か」
「あたりまえ」
エリックは、何も言わずに口を噤んだ。
その様子を見ていたオリバー団長が、
ぽん、とエリックの肩を叩いて言う。
「すごいぞ、テオ。
エリックの厳しい指導に耐えて、
しかも“言われた以上”にやっている」
一拍おいて、穏やかに続けた。
「……お嬢様が、そばに置くわけだ」
その言葉が、胸に落ちた。
あたたかくて、
少しだけ、誇らしい。
オリバー団長と、2人きりになる。
周囲の気配が遠のいで、
静かな時間が流れた。
「……だいぶ、様になってきたな」
「そうだと、いいけど……」
「謙遜するな」
オリバー団長は、少しだけ口元を緩めた。
「あのエリックの指導についていける騎士は、
第2騎士団でも多くはない」
「そうですか?」
「ああ。
あいつは、自分にも厳しいが――
他人にも厳しいからな」
なるほど、と納得する。
「でも……」
俺は、正直な気持ちを口にした。
「エリックが言っていたことは、全部正しい」
オリバー団長が、意外そうにこちらを見る。
「実際、ダンスは上手い。
立ち方も、視線も、間の取り方も」
そう言うと、
オリバー団長は小さく笑った。
「……わかっているな」
一歩、間を置いて、続ける。
「厳しい指導を“ただの苦行”で終わらせるか、
“糧”にできるかは、受ける側次第だ」
その視線は、試すようでもあり、
認めているようでもあった。
「お前は、後者だな。テオ」
胸の奥が、静かに熱くなる。
「……どうも」

