第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「ほらほら、レオちゃん交代よ。
ティアナちゃんをそんなに振り回すんじゃないの!」

「うわっ、ルイ!」

しれっとレオを押しのけ、
彼は優雅に一礼してから手を差し出した。

「では、ティアナちゃん。
私とも踊ってくれる?」

ウインク付きのその仕草に、思わず微笑み返す。

「もちろん」

そう答えて、差し出された手を取った。

驚くほど滑らかで、洗練された動き。
レオとはまるで違い、身体が自然と音楽に乗る。

「今日のドレスも素敵ね」

「ありがとう」

「本当はね、余裕があったら新しく仕立て直したかったんだけど」

「ルイ、今ものすごく忙しいものね」

「そうなのよ。もう目が回るくらい」

くすりと笑ってから、少し声の調子を落とす。

「……それより、最近どうなの?」

「どう、って?」

視線が自然とディランの方へ向かう。
相変わらず、周囲を人だかりが囲んでいた。

「あの王子様よ。
こんな可愛い婚約者を放っておいて、
あんなに女の子たち侍らせちゃって」

「はべらせて、って……」

苦笑しながら、正直に続ける。