「……で」
ふいに、父が切り出した。
「殿下とは、どうするつもりだ?」
その問いが来るとは思っておらず、
私は一瞬、言葉を失った。
「え?」
素っ頓狂な声が出る。
「……結婚するのか?」
「い、いえ!
あ、あくまで……契約上の関係なので!」
必死に否定する私に、
父は特に驚く様子もなく、短く頷いた。
「そうか」
その反応が、逆に落ち着かない。
「……だが」
父は、少しだけ目を細める。
「殿下は、お前を手放すつもりはなさそうだな」
「……は?」
「殿下が、ティアナを本気で想っているのは分かっていた。
だからこそ――預けていたのだ」
淡々とした声だった。
だが、その言葉の重みは、十分すぎるほどだった。
胸の奥が、むず痒くなる。
(……お父様、そんなことまで)
私は視線を逸らし、
どう返せばいいのか分からないまま、黙り込んだ。
「……まあ、いい」
父は小さく息を吐き、肩の力を抜いた。
「好きにしなさい」
こちらを見る視線は、もう探るものではない。
「お前が決めればいい」
それは放任ではなく、
“信じている”という許しだった。
胸の奥に、あたたかいものが静かに落ちる。
「……はい」
短く返したその声は、
自分でも驚くほど、まっすぐだった。
ふいに、父が切り出した。
「殿下とは、どうするつもりだ?」
その問いが来るとは思っておらず、
私は一瞬、言葉を失った。
「え?」
素っ頓狂な声が出る。
「……結婚するのか?」
「い、いえ!
あ、あくまで……契約上の関係なので!」
必死に否定する私に、
父は特に驚く様子もなく、短く頷いた。
「そうか」
その反応が、逆に落ち着かない。
「……だが」
父は、少しだけ目を細める。
「殿下は、お前を手放すつもりはなさそうだな」
「……は?」
「殿下が、ティアナを本気で想っているのは分かっていた。
だからこそ――預けていたのだ」
淡々とした声だった。
だが、その言葉の重みは、十分すぎるほどだった。
胸の奥が、むず痒くなる。
(……お父様、そんなことまで)
私は視線を逸らし、
どう返せばいいのか分からないまま、黙り込んだ。
「……まあ、いい」
父は小さく息を吐き、肩の力を抜いた。
「好きにしなさい」
こちらを見る視線は、もう探るものではない。
「お前が決めればいい」
それは放任ではなく、
“信じている”という許しだった。
胸の奥に、あたたかいものが静かに落ちる。
「……はい」
短く返したその声は、
自分でも驚くほど、まっすぐだった。

