内定式の日。
俺は、式が行われるアースシールド♾️の本拠地に向かうため、スーツを着て家を出た。
糸には前日に「家の前まで迎えにいく」と連絡してある。
ーータッタッタッタッタッ。
糸の家までは走って3分。
いつもよりも早く走って糸の家を目指す。
三次試験の結果が出た日、糸とは気まずい感じで別れてしまった。
永久とデートしてただと?
気が気じゃねえ!
俺は昔から糸のずっと隣にいたんだ。
この先だって隣にいるのは俺だ!
家の前で立つ、パンツスーツ姿の糸。
「糸! 待ったか?」
「いや。月、この間は…」
ーーギュッ。
何か言いかけた糸を無視して、手を握る。
そのまま歩き始めると糸は「どうしたんだ? 月?」と困惑している様子だ。
「るせえ! いいから行くぞ!」
「いや、手……繋がなくても歩ける……」
「お前は危なっかしいから、会場まで俺が責任持って手を繋いでってやる!」
「危なっかしい…? 私の方が月より強いぞ?」
「そーゆー話をしてるんじゃないんだよ!」
ほんと、糸は何も分かってねえ!
俺の気持ちにはこの8年間、全く気づいてない!
永久さんがその気なら俺だって本気でいかせてもらう!
見てろよ、糸!
本気の俺を!
°。°。☆°。°。☆°。°。°。°。☆°。°。☆°。°。
「永久さん」
本拠地の建物に近づくと、永久らしき背中が見えて、糸が声をかける。
俺に繋がれていない方の手で手を振っていた。
すると、永久は目を見開いて、爆速で向かってくる。
そして、勢いよく俺と糸の手を引き離した。
永久の顔が真っ赤だ。
「何やってる」
「何って、内定式に…」
「糸に聞いてない」
「うるせえな! 永久だってこの間抜け駆けしてたろ!」
「月は糸が鈍いからってずるいぞ…」
「ずるいとかねーし!」
永久と言い合っていると糸が「とりあえず内定式に行こう。遅れる」と言い放ってスタスタと行ってしまった。
「「糸、待って」」
俺と永久の声がハモって急いで糸に追いつく。
内定式が終われば、アースシールド♾️の隊員として、3年間学校に通い、訓練を受けながら小さな任務をこなすことになる。
寮では糸と毎日一緒だ。
永久との勝負、何がなんでも負けられねえ!
俺は……糸のことが世界一大事なんだ!


