グラウンドの端で、私は夢中になってその光景を見つめていた。
「肘、もう少し上げてみて。あ、そう。その角度」
瀬川くんが、ボールの握り方を一人の少年に教えている。
自分の大きな手で少年の小さな手を包み込むようにして、目線を合わせるために片膝をついている。
その横顔は驚くほど優しくて、見ているこちらの胸が締め付けられるほどだった。
(あんな顔で、子どもたちに接してるんだ……)
私に向ける笑顔とも、友達といる時の顔とも違う。
頼りがいのある、指導者の表情。
そのギャップに、胸の奥がときめきっぱなしだ。
「じゃあ、一回俺が投げてみるから、フォーム見ててな」
瀬川くんが立ち上がり、キャッチャー役の子に向かってマウンド付近に立つ。
その瞬間、私の周りの空気がピタリと止まった気がした。
ゆっくりと振りかぶる。
中学時代、遠くから何度も何度も見つめていた、あのしなやかなフォーム。
肩を壊しているから、もちろん全力ではない、軽く、力みのないフォームだけれど。
指先から放たれたボールは、糸を引くような軌道を描いて、キャッチャーミットに「パーン!」と心地よい音を響かせて収まった。
「うおー! すっげー!」
「コーチ、今の球はやい!」
少年たちが目を輝かせて歓声を上げる。
瀬川くんは「いやいや、しょっちゅう見てるじゃん」と照れくさそうに笑った。
けれど、私の目頭は不意に熱くなっていた。
もう二度と見られないと思っていた、彼がマウンドでボールを投げる姿。
全力じゃなくても、その姿はやっぱり、私の世界で一番かっこいい人だった。
試合形式の練習が始まると、少年たちの真剣な姿にも心を打たれた。
内野ゴロに飛びついて、盛大に転んで泥だらけになっても、すぐに立ち上がって一塁へボールを投げる。
三振して悔し涙を拭いながらベンチへ戻る子に、瀬川くんがポンと肩を叩いて励ましている。
汗と泥の匂い、土の匂い。
一生懸命な彼らの姿と、それを温かく導く瀬川くんの姿から、目が離せない。
見学時間はあっという間に過ぎていった。
「肘、もう少し上げてみて。あ、そう。その角度」
瀬川くんが、ボールの握り方を一人の少年に教えている。
自分の大きな手で少年の小さな手を包み込むようにして、目線を合わせるために片膝をついている。
その横顔は驚くほど優しくて、見ているこちらの胸が締め付けられるほどだった。
(あんな顔で、子どもたちに接してるんだ……)
私に向ける笑顔とも、友達といる時の顔とも違う。
頼りがいのある、指導者の表情。
そのギャップに、胸の奥がときめきっぱなしだ。
「じゃあ、一回俺が投げてみるから、フォーム見ててな」
瀬川くんが立ち上がり、キャッチャー役の子に向かってマウンド付近に立つ。
その瞬間、私の周りの空気がピタリと止まった気がした。
ゆっくりと振りかぶる。
中学時代、遠くから何度も何度も見つめていた、あのしなやかなフォーム。
肩を壊しているから、もちろん全力ではない、軽く、力みのないフォームだけれど。
指先から放たれたボールは、糸を引くような軌道を描いて、キャッチャーミットに「パーン!」と心地よい音を響かせて収まった。
「うおー! すっげー!」
「コーチ、今の球はやい!」
少年たちが目を輝かせて歓声を上げる。
瀬川くんは「いやいや、しょっちゅう見てるじゃん」と照れくさそうに笑った。
けれど、私の目頭は不意に熱くなっていた。
もう二度と見られないと思っていた、彼がマウンドでボールを投げる姿。
全力じゃなくても、その姿はやっぱり、私の世界で一番かっこいい人だった。
試合形式の練習が始まると、少年たちの真剣な姿にも心を打たれた。
内野ゴロに飛びついて、盛大に転んで泥だらけになっても、すぐに立ち上がって一塁へボールを投げる。
三振して悔し涙を拭いながらベンチへ戻る子に、瀬川くんがポンと肩を叩いて励ましている。
汗と泥の匂い、土の匂い。
一生懸命な彼らの姿と、それを温かく導く瀬川くんの姿から、目が離せない。
見学時間はあっという間に過ぎていった。


