壁一面に赤い提灯がずらりと並び、木の温もりが漂う居酒屋。
肩が触れ合うほどの狭い半個室で、僕はクラスの男子四人でジョッキを傾けていた。
まだ期末の試験期間の真っ最中なのだが、山場は越えたため、中間打ち上げということで集まっている。
普段は大学の課題とバイトに追われ、週に何度も集まる彼らの誘いに乗れていないけれど、たまにはこういう息抜きも悪くない。
「……祥太郎。なんか最近、輝いてね?」
向かいに座る正人が、数秒間僕の顔をじっと凝視した後、ボソッと呟いた。
「……はい?」
「あー、わかる。なんかカッコよくなったよな」
「幸せだから男としての余裕が出てるとか?」
周りの連中まで身を乗り出して分析を始める。
「何それ。わかんない」
僕は苦笑いして受け流した。
自覚はまったくない。
ファッションや流行には疎いし、着ているのも安くてシンプルな服ばかりだ。
美絵に良く思ってもらえるように、身だしなみに気をつけている程度でしかない。
『カッコいい』というのは、もっとこう……。
ふと、美絵のバイト先の同僚である柳(というらしい)の姿が頭をよぎる。
東京出身の彼は、なんていうか、すごく垢抜けていた。
カフェの制服の着こなしひとつとっても様になっていて。
美絵とも……親しげに話していた。
(……いや、今のなし。思い出すな、俺)
胸の奥がチリっと焼けるような苛立ちを覚え、僕は慌てて思考をシャットアウトした。
醜い嫉妬なんて、するもんじゃない。
「いーなー、俺も彼女ほしいわ。もうすぐバレンタインだぜ?」
「今からアピールしまくれば、誰かしらくれねーかな」
「祥太郎さん、その輝きを俺らにも分けてくださいよ」
ガヤガヤと盛り上がる声を「はいはい」と適当にスルーする。
バレンタインは、美絵と会う約束をしている。
恋人になってから、初めて迎えるバレンタイン。
美絵はどんなものをくれるんだろう。
美絵がくれるものなら、なんだって嬉しい。
結局、僕も彼らと同じか、それ以上に浮ついているのだった。
肩が触れ合うほどの狭い半個室で、僕はクラスの男子四人でジョッキを傾けていた。
まだ期末の試験期間の真っ最中なのだが、山場は越えたため、中間打ち上げということで集まっている。
普段は大学の課題とバイトに追われ、週に何度も集まる彼らの誘いに乗れていないけれど、たまにはこういう息抜きも悪くない。
「……祥太郎。なんか最近、輝いてね?」
向かいに座る正人が、数秒間僕の顔をじっと凝視した後、ボソッと呟いた。
「……はい?」
「あー、わかる。なんかカッコよくなったよな」
「幸せだから男としての余裕が出てるとか?」
周りの連中まで身を乗り出して分析を始める。
「何それ。わかんない」
僕は苦笑いして受け流した。
自覚はまったくない。
ファッションや流行には疎いし、着ているのも安くてシンプルな服ばかりだ。
美絵に良く思ってもらえるように、身だしなみに気をつけている程度でしかない。
『カッコいい』というのは、もっとこう……。
ふと、美絵のバイト先の同僚である柳(というらしい)の姿が頭をよぎる。
東京出身の彼は、なんていうか、すごく垢抜けていた。
カフェの制服の着こなしひとつとっても様になっていて。
美絵とも……親しげに話していた。
(……いや、今のなし。思い出すな、俺)
胸の奥がチリっと焼けるような苛立ちを覚え、僕は慌てて思考をシャットアウトした。
醜い嫉妬なんて、するもんじゃない。
「いーなー、俺も彼女ほしいわ。もうすぐバレンタインだぜ?」
「今からアピールしまくれば、誰かしらくれねーかな」
「祥太郎さん、その輝きを俺らにも分けてくださいよ」
ガヤガヤと盛り上がる声を「はいはい」と適当にスルーする。
バレンタインは、美絵と会う約束をしている。
恋人になってから、初めて迎えるバレンタイン。
美絵はどんなものをくれるんだろう。
美絵がくれるものなら、なんだって嬉しい。
結局、僕も彼らと同じか、それ以上に浮ついているのだった。


