ベッドの上。
僕の腕の中で、幸せそうに眠っている美絵を見つめる。
元旦に地元で彼女の両親に会ってからというもの、僕の心境には大きな変化があった。
『仲良くしてもらって、本当にありがとう』
『あの子を、よろしく頼むね』
彼女の面影がある二人から、その言葉をかけられた時の重みを思い出すたび、背筋がピンと伸びるような思いがする。
美絵とは、一時的なお付き合いなどではなく、ずっと一緒にいたい。
彼女をずっと笑顔にさせられる男になりたい。
彼女の両親が大切に育ててきた美絵という一人の女性を、僕がそれ以上に大切にしたい。
そう思うと、どれほどバイトが忙しくても、授業の課題やテストが山積みでも、不思議とやる気が底から湧き上がってきた。
けれど、自分を律して「正しい男」であろうとするが故に、目の前の彼女の寂しさを置き去りにはしたくない。
最近、美絵がやきもちを焼くことが増えた。
「祥ちゃん……今日カフェテリアで、同じクラスの子に、腕触られてたでしょ」
「えっ、腕? 全然気づかなかった……」
「もう……祥ちゃん、ガード甘いよう……」
「ご、ごめん……」
美絵以外の女性の言動には、どうも疎い僕だ。
それが仇となり、最近よく彼女を膨れっ面にさせてしまっている。
それが、僕たちの関係が深まり、彼女が本音を見せてくれるようになった証拠なら嬉しいけれど。
僕に至らぬところがあって彼女を不安にさせているのだとしたら……。
だからこそ、最近の別れ際に発動される「帰りたくない」攻撃にも、つい甘くなってしまう。
今日もそうだ。
駄々をこねる彼女を優しく窘めるつもりが、結局はこうして彼女を抱きしめてしまっている。
ただ、彼女がワガママを言うのは、決まって、二人とも翌日の朝に授業やバイトがない日だけ。
美絵なりに二人の生活を気にかけてくれているのだろう。
そんなところもいじらしくて、つい受け入れてしまうのだ。
本音を言えば……僕だって、ずっと一緒にいたい。
この腕の中に彼女を閉じ込めて、ずっとじゃれ合って、その笑顔を独り占めしていたい。
けれど、もし僕がその欲求に完全に身を任せてしまったら。
僕はきっと、目の前の美絵だけに夢中になって、大学も、バイトも、将来のことも、全部どうでもよくなってしまうだろう。
そして彼女にも、同じように僕だけを見ていることを求めてしまうかもしれない。
そのくらい、僕は彼女のことが……自分でも怖くなるほど好きなのだ。
僕が必死にけじめをつけようと自分を律しているのは、二人の生活を壊さないためだけじゃない。
自分自身が彼女への愛に呑み込まれて、制御不能になってしまうのが怖いからでもある。
彼女の柔らかい髪に触れる。
今はまだ、この幸福に溺れるわけにはいかない。
いつか、胸を張って彼女のすべてを預かれる男になりたい。
彼女を起こさないようにそっと、だけど強く抱き寄せながら、僕は心の中で再度誓うのだった。
僕の腕の中で、幸せそうに眠っている美絵を見つめる。
元旦に地元で彼女の両親に会ってからというもの、僕の心境には大きな変化があった。
『仲良くしてもらって、本当にありがとう』
『あの子を、よろしく頼むね』
彼女の面影がある二人から、その言葉をかけられた時の重みを思い出すたび、背筋がピンと伸びるような思いがする。
美絵とは、一時的なお付き合いなどではなく、ずっと一緒にいたい。
彼女をずっと笑顔にさせられる男になりたい。
彼女の両親が大切に育ててきた美絵という一人の女性を、僕がそれ以上に大切にしたい。
そう思うと、どれほどバイトが忙しくても、授業の課題やテストが山積みでも、不思議とやる気が底から湧き上がってきた。
けれど、自分を律して「正しい男」であろうとするが故に、目の前の彼女の寂しさを置き去りにはしたくない。
最近、美絵がやきもちを焼くことが増えた。
「祥ちゃん……今日カフェテリアで、同じクラスの子に、腕触られてたでしょ」
「えっ、腕? 全然気づかなかった……」
「もう……祥ちゃん、ガード甘いよう……」
「ご、ごめん……」
美絵以外の女性の言動には、どうも疎い僕だ。
それが仇となり、最近よく彼女を膨れっ面にさせてしまっている。
それが、僕たちの関係が深まり、彼女が本音を見せてくれるようになった証拠なら嬉しいけれど。
僕に至らぬところがあって彼女を不安にさせているのだとしたら……。
だからこそ、最近の別れ際に発動される「帰りたくない」攻撃にも、つい甘くなってしまう。
今日もそうだ。
駄々をこねる彼女を優しく窘めるつもりが、結局はこうして彼女を抱きしめてしまっている。
ただ、彼女がワガママを言うのは、決まって、二人とも翌日の朝に授業やバイトがない日だけ。
美絵なりに二人の生活を気にかけてくれているのだろう。
そんなところもいじらしくて、つい受け入れてしまうのだ。
本音を言えば……僕だって、ずっと一緒にいたい。
この腕の中に彼女を閉じ込めて、ずっとじゃれ合って、その笑顔を独り占めしていたい。
けれど、もし僕がその欲求に完全に身を任せてしまったら。
僕はきっと、目の前の美絵だけに夢中になって、大学も、バイトも、将来のことも、全部どうでもよくなってしまうだろう。
そして彼女にも、同じように僕だけを見ていることを求めてしまうかもしれない。
そのくらい、僕は彼女のことが……自分でも怖くなるほど好きなのだ。
僕が必死にけじめをつけようと自分を律しているのは、二人の生活を壊さないためだけじゃない。
自分自身が彼女への愛に呑み込まれて、制御不能になってしまうのが怖いからでもある。
彼女の柔らかい髪に触れる。
今はまだ、この幸福に溺れるわけにはいかない。
いつか、胸を張って彼女のすべてを預かれる男になりたい。
彼女を起こさないようにそっと、だけど強く抱き寄せながら、僕は心の中で再度誓うのだった。


