ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの両片思い。不器用なふたりが、東京で0センチメートルになるまで。~

 大晦日の東京駅は、自分の意志で歩くことがままならないほどの人であふれ返っていた。

 荒波に揉まれるようにして新幹線へ滑り込むと、案の定、車内は酸欠になりそうなほどの超満員。
 窓を曇らせるほどの熱気でいっぱいだ。
 誰もが年始を前にした高揚感を隠しきれない様子で、車内全体がソワソワとしたざわめきに包まれている。その喧騒が、今は不思議と心地よかった。

 窓の外を流れる景色が白一色に染まっていくのを眺めながら、私はようやく一息つく。

 今回の帰省は、年が明けて三日の昼まで。
 夏休みに帰ったときは、始めたばかりのバイトが忙しくて一泊二日しかいられなかったけれど、今回は少しだけ長く両親と過ごせる。

 ふと、前回の帰路、まだ祥ちゃんと付き合う前の、四か月前のことを思い出した。
 車内で、ドキドキしながら彼にメッセージを送ったっけ。

『今、福島に帰ってるんだ』
『いいな。俺はタイミングなくて、今年の夏は行けなさそう』

 そんな何気ないやり取りが、今では遠い昔のことのように懐かしい。
 たった四か月で、私たちの関係は想像もしなかったところまで進んだ。

 祥ちゃんは今日の夕方までバイトで、年越しは東京で過ごしてから、明日の朝にこっちへ来る予定だ。
『タイミングが合えば地元で会いたいね』と話はしているけれど、お互いの家族の予定もある。

(会えるかな、会いたいな……)

 恋人になってから初めて、二人の地元である福島で、彼と会えることを願わずにはいられなかった。