「……蝶の会」
私は、ぽつりと呟いた。
「ねぇお父様はそこにいた?」
「記録上は、はい」
蝶の会。
表向きは社交と取引の場。
だが実態は、魔法石研究を水面下で進める者たちの集まり。
「じゃあ――」
言葉が、喉で詰まる。
「お母様を、死に追いやったのは……」
父なのか。
直接、手を下さなくとも。
実験を止めなかった。
危険性を知りながら、黙認した。
それだけで、十分すぎるほどだった。
「断言は、できません」
ユウリは慎重に言葉を選ぶ。
「ですが、アイリス様が
“お嬢様を守るために自ら対象になった”ことを、
アドルフ様が知らなかったとは考えにくい」
胸の奥が、冷たくなる。
「……知ってて、止めなかった」
それは、答えと同じだった。
私は、ゆっくりと息を吸う。
「ねえ、ユウリ」
顔を上げる。
「もし、お母様が生きていたら……」
声が、わずかに震える。
「お父様を許したと思う?」
ユウリは、すぐには答えなかった。
やがて、静かに口を開く。
「……それでも、守ったでしょう」
その声には、迷いがなかった。
「お嬢様を。
最後まで」
私は、ぽつりと呟いた。
「ねぇお父様はそこにいた?」
「記録上は、はい」
蝶の会。
表向きは社交と取引の場。
だが実態は、魔法石研究を水面下で進める者たちの集まり。
「じゃあ――」
言葉が、喉で詰まる。
「お母様を、死に追いやったのは……」
父なのか。
直接、手を下さなくとも。
実験を止めなかった。
危険性を知りながら、黙認した。
それだけで、十分すぎるほどだった。
「断言は、できません」
ユウリは慎重に言葉を選ぶ。
「ですが、アイリス様が
“お嬢様を守るために自ら対象になった”ことを、
アドルフ様が知らなかったとは考えにくい」
胸の奥が、冷たくなる。
「……知ってて、止めなかった」
それは、答えと同じだった。
私は、ゆっくりと息を吸う。
「ねえ、ユウリ」
顔を上げる。
「もし、お母様が生きていたら……」
声が、わずかに震える。
「お父様を許したと思う?」
ユウリは、すぐには答えなかった。
やがて、静かに口を開く。
「……それでも、守ったでしょう」
その声には、迷いがなかった。
「お嬢様を。
最後まで」
