そして、死因欄。
「死因:急性魔力衰弱」
私は、そこで一度ページを止める。
「これって…病死として処理されたってこと?」
「はい。対外的にはそう処理されています」
ユウリは一拍置いて、静かに続けた。
「ですが、魔力衰弱は“結果”であって、“原因”ではありません」
私は再び視線を落とす。
発症時刻。
死亡推定時刻。
立ち会い者――記載なし。
代わりに、備考欄には小さな文字が並んでいた。
『高純度魔宝石との接触歴あり』
『実験中の事故の可能性を否定せず』
「事故……の“可能性”?」
呟くと、ユウリは小さく首を振る。
「決定的なのは、こちらです」
指し示された別の紙。
「魔力循環路に外傷なし」
「防御結界、完全」
「外部干渉の痕跡なし」
「……矛盾してる」
言葉が、自然と零れた。
防御も制御も完璧。
外部からの攻撃も、装置の異常もない。
それなのに――対象者だけが死亡している。
「はい。通常、あり得ません」
ユウリの視線が、真っ直ぐ私を捉える。
「まるで――
魔宝石側が、アイリス様を“選んだ”かのような結果です」
胸の奥が、きゅっと縮んだ。
“選んだ”。
その言葉が、嫌なほどしっくりきてしまう。
「……ねえ、ユウリ」
私は、書類から顔を上げた。
「アイリス…いやお母様は、自分が死ぬかもしれないって……分かってたと思う?」
少しの沈黙。
「……おそらくは」
ユウリは、目を逸らさなかった。
「死因:急性魔力衰弱」
私は、そこで一度ページを止める。
「これって…病死として処理されたってこと?」
「はい。対外的にはそう処理されています」
ユウリは一拍置いて、静かに続けた。
「ですが、魔力衰弱は“結果”であって、“原因”ではありません」
私は再び視線を落とす。
発症時刻。
死亡推定時刻。
立ち会い者――記載なし。
代わりに、備考欄には小さな文字が並んでいた。
『高純度魔宝石との接触歴あり』
『実験中の事故の可能性を否定せず』
「事故……の“可能性”?」
呟くと、ユウリは小さく首を振る。
「決定的なのは、こちらです」
指し示された別の紙。
「魔力循環路に外傷なし」
「防御結界、完全」
「外部干渉の痕跡なし」
「……矛盾してる」
言葉が、自然と零れた。
防御も制御も完璧。
外部からの攻撃も、装置の異常もない。
それなのに――対象者だけが死亡している。
「はい。通常、あり得ません」
ユウリの視線が、真っ直ぐ私を捉える。
「まるで――
魔宝石側が、アイリス様を“選んだ”かのような結果です」
胸の奥が、きゅっと縮んだ。
“選んだ”。
その言葉が、嫌なほどしっくりきてしまう。
「……ねえ、ユウリ」
私は、書類から顔を上げた。
「アイリス…いやお母様は、自分が死ぬかもしれないって……分かってたと思う?」
少しの沈黙。
「……おそらくは」
ユウリは、目を逸らさなかった。
