ティアナ side
書斎で書類の確認をしていると、廊下から足音が聞こえた。
――珍しい。
彼がここまで来るのは、何かあった時だけだ。
トントン、と扉を叩く音。
「どうぞ」
「失礼いたします」
「どうしたの? セナ」
顔を上げると、相変わらず均整のとれた美しい体躯と、涼しげな目元。
けれどその表情には、わずかな迷いが滲んでいた。
「お忙しいところ、申し訳ありません」
「堅苦しい挨拶はいいわ。それで、何かあったの?」
セナは一瞬視線を伏せ、声を落として言った。
「実はここ1週間ほど、テオの様子がおかしくて……。
食事も睡眠も、ほとんど取れていないようです」
胸の奥が、ひくりと痛んだ。
「それだけでなく、夜中に騎士寮を抜け出す姿も何度か確認しています」
――やっぱり。
脳裏に浮かぶのは、あの日の訓練場。
深紅に染まった刀身。
感情を剥き出しにした斬撃。
そして――私が、2人の間に割って入った瞬間。
あの時、私は正しかったのだろうか。
止めることしか、できなかったけれど。
彼の心に、きちんと触れられていただろうか。
書斎で書類の確認をしていると、廊下から足音が聞こえた。
――珍しい。
彼がここまで来るのは、何かあった時だけだ。
トントン、と扉を叩く音。
「どうぞ」
「失礼いたします」
「どうしたの? セナ」
顔を上げると、相変わらず均整のとれた美しい体躯と、涼しげな目元。
けれどその表情には、わずかな迷いが滲んでいた。
「お忙しいところ、申し訳ありません」
「堅苦しい挨拶はいいわ。それで、何かあったの?」
セナは一瞬視線を伏せ、声を落として言った。
「実はここ1週間ほど、テオの様子がおかしくて……。
食事も睡眠も、ほとんど取れていないようです」
胸の奥が、ひくりと痛んだ。
「それだけでなく、夜中に騎士寮を抜け出す姿も何度か確認しています」
――やっぱり。
脳裏に浮かぶのは、あの日の訓練場。
深紅に染まった刀身。
感情を剥き出しにした斬撃。
そして――私が、2人の間に割って入った瞬間。
あの時、私は正しかったのだろうか。
止めることしか、できなかったけれど。
彼の心に、きちんと触れられていただろうか。
