「俺、まだ新人でよくわかってないですけど、誰が一番強いですか?それとティアナお嬢様って、俺より強いですよね」
先ほどの手合わせを思い出し、正直落ち込む。
護るべき人物が自分より強いとは、何とも言えない複雑な気持ちだ。
「あーそれね。お前がお嬢様とやりあったら100%負けるな」
「アレンは素早いけど、太刀筋がわかりやすいからな!」
グサッと刺さる言葉だ。自分でも分かっているけれど、先輩に指摘されるとさらに悔しい。
「……まあ、そうだな。
せっかくだし、騎士団のことを少し勉強しておこうか」
そう言うとロベルト先輩は、足元に落ちていた木の枝を拾い上げ、地面に線を引き始めた。
さらさらと描かれていくのは、三段に分かれた三角形――まるで小さなピラミッドのようだ。
「まずな、騎士になるには王国騎士団の登用試験に合格する必要がある」
「合格後は成績と本人の希望をもとに、各領地や騎士団へ配属される仕組みだ」
次に、三角形の中央へ線を引く。
「で、俺たちはラピスラズリ騎士団所属。
その中でも、さらに第1・第2・第3の3部隊に分かれてる」
「第1騎士団は、経験を積んだ実力者ばかりの精鋭部隊。
ラピスラズリ家当主直々の命を受けて動くことも多い」
枝先が、頂点をなぞる。
「第2騎士団は若手中心だが、貴族出身者が多いエリート集団だな」
視線が、自然と中央へ移る。
「そして俺たち第3騎士団は、平民や市民出身が中心だ」
一番下を軽く叩き、ロベルト先輩は肩をすくめた。
「任務内容自体は第2と第3で大きな差はない。
……が、寮の設備と給料に関しては、どう考えても第2騎士団のほうが上だな」
苦笑しながら、枝を放り投げる。
「まあ、現実ってやつだ」
