第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

休憩になり、レオさんという方からいただいた差し入れを配り終えると、先輩方と集まってひと息つく。

「あの、随分ハイレベルな手合わせでしたね」

「そうだな。いつもあんな感じだけどな」

「怪我とかしないんですか?お嬢様なのに大丈夫なんですか?」
いくら強いとはいえ、あのスピードと剣捌きで怪我をしないのか心配になる。
ラピスラズリ伯爵家のお嬢様に怪我でもさせたら、大変なことになるだろう。

「それはセナ副団長が上手いんだよ。相手をよく見て、どの程度の力でやればいいか絶妙に調整してるんだ」

「だけどお嬢様も負けてないよな!さっきの顎先を躊躇なく攻めたとき、俺は『いけるー!』って思ったもん」

「わかる!わかる!惜しかったよな」

「お嬢様がすごいのは、怪我させないようちゃんと攻撃を寸止めできるところだよな」

「だけどセナ副団長は圧倒的だよなー」

「いやあ、どっちも末恐ろしいよ」

ロベルト先輩が唸ると、他の団員たちも頷き、皆その技量に感嘆していた。