第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

自分の村の話に興味を持ってもらえて嬉しく、つい話してしまったけれど、失礼はなかっただろうか――ふと心配になる。

「そうだ。さっきの試合だけど、
素早さはあるけど太刀筋が大雑把。もう少し技の正確性を意識しないと、セナには全く相手にならないよ」

えっ!?
穏やかに微笑みながら、助言をするティアナお嬢様に驚く。
あの一瞬の間で、俺の癖や、いつもセナ副団長やロベルト先輩に言われることまで見抜かれてしまった。

「は、はい!精進します!」

頑張ろう。
直接話をして、目の前のお嬢様が素敵な人だと直感した。
まずは、この人に認めてもらえるよう努力しよう。

「挨拶はできたか?」
ロベルト先輩が声をかけてくれる。

「はい!」
元気に返事をする。

「素敵なお嬢様だろ?」
ニヤリと笑うロベルト先輩。

「そうですね!」
素直に返事を返すと、その返答に満足げに頷く。

「お!セナ副団長とお嬢様の手合わせだ。ちゃんと見とけよ」

「本当に手合わせするんですか?大丈夫なんですか?」
お嬢様が訓練に参加するなんて聞いたことがない。

しかし目の前のお嬢様は、やる気満々で木剣を構える姿も様になっている。
素人という感じはなく、自然と騎士団の訓練場に溶け込んでいるようだ。