第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「そして最後に……」

「謎の男、サーフェスと共闘すべきかどうか」

書き終えると、ユウリは紙全体を見渡し、小さく息をついた。

「……中々の情報量ですね」

「でしょ……もう頭がパンクしそう」

思わず本音がこぼれる。

ユウリは、わずかに口元を緩めた。

「では、順番に整理しましょう」

「まずは、アドルフ様が本当に蝶の会へ出入りしていたかどうか。
仮面越しでしたし、別人という可能性も否定できません」

「うん……お願い」

「次に、その記憶に出てきた女性についても調べてみます」

「……ありがとう」

少し肩の力が抜けた、そのとき。

机の上に広げられた紙の端に、妙なものが目に入った。

「……ねえ、ユウリ」

「はい?」

「この絵に描いてある……その化け物は、何?」

まとめられた図の片隅。

どう見ても人とは思えない何かが描かれている。

角のようなもの、鋭すぎる目、禍々しいオーラ。
しかも、やたら迫力だけはある。

あまりにも壊滅的な似顔絵に、思わず尋ねてしまった。

「お嬢様ですよ」

「…………は?」

まさかの回答。

私本人。

衝撃的すぎる事実に、思考が一瞬停止した。