第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

石畳に降りると、会場の温室は改装されており前見た時とはまるで違う建物に見えた。


私ティアナ…いやルナは深呼吸した。


「……似合ってるよ」
思わず口をつくと、彼は一瞬だけ言葉に詰まった。

「お嬢様こそ——いえ、ルナ」

呼び名が変わるだけで、胸の奥が少しざわつく。
私は微笑み、腕を差し出した。

「恋人同士、でしょ?」

「……はい」

指先が触れ合う。
二人は歩調を合わせ、入口へ向かった。
ユウリは、素早く静かに別の出入り口に向かって行った。

扉の前で係員が一礼する。
「合言葉を」
そう問われ、緊張しながら。

「白い蝶」
と答える。

「それでは招待状のご提示を」

ドレスのポケットから二つの宝石を見せる。
係員が特殊なライトを宝石に照らす、蝶の模様を確認。

「間違いないですね…ところで」

「何でしょう?」
係員に引き留められ少し緊張する。

「宝石は身につけられないのですか?」

こんな物騒な宝石身につけられるかと思いつつ、穏やかに笑ってみせる。

「私の今日のドレスとでは、相性が悪いの。
それに彼とお揃いの宝石をつけたいからそれも今日探しに来たの」

そう余裕たっぷりにいい、シオンの腕に捕まる。

「ああ、ルナに似合う宝石があるはずだ」


「それは失礼致しました。ようこそ、蝶の会へ」

係員がお辞儀をし扉が開く。
ここで何が行われているのかこの目でしっかりと確かめなければ…