第一部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない

「決闘ってことは……一対一ですよね?」

少し不安そうに、アレンが口を開く。

「正直、分が悪いと思います」

ロベルトも告げる。

私は、静かに首を振った。

「ええ。
だからこそ――私がやろうとしているのは、騎士道には反してる」

みんなの視線が集まる。

「手段を選ばずに勝つ。
少し……ずるいやり方よ」

「というと?」

ルイが首を傾げた。

私は、一つずつ言葉を並べる。

「まず、木剣で勝負すると思わせるの。
私は木剣の中に魔宝剣を仕込む」


「なるほど……」

アレンが息を呑む。

「セナは“自分で選んだ”と思う。
だから、警戒しない」

私は続けた。

「戦いの途中で、私は魔宝剣を発動させる。
セナの木剣を砕くわ」

「そりゃ、セナさんも――」

「ええ」

私は頷いた。

「もちろん、魔宝剣を使う」

一瞬の沈黙。

「……でも」

ロベルトが首を傾げる。

「それだと、条件は同じでは?」


その時だった。
私はある魔宝石をみせる。

「ふーん」

テオが、にやりと笑った。

「なるほどね。
魔宝剣の“力”を、発揮させないってことだ」

全員がテオに注目する。