迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~



 すると、控えていたヒュドーが「ご心配なく」と言ってつけ加えた。
「アバロンド家の傍系には、数名ほど光の精霊師がいらっしゃいます。ミリーネ嬢ほどの力はなくとも、今後王国で活躍してくれるでしょう」
「なっ……」
「あと、ミリーネ嬢の処遇はランドレイス家に預けています。許すも何もシドリウス様は一切関与しません。嘆願するならランドレイス家へどうぞ」

 にっこりと微笑むヒュドーだが、この時ばかりは主人同様に目が笑っていなかった。
 シドリウスは内心苦笑すると、ミリーネに向かって人差し指を立てる。

「まあ、俺が一つだけランドレイス公爵にお願いしたのは、二度とおまえが俺やフィーの前に現れないことくらいだな。……元光の精霊師として、一生をかけて社会奉仕するといい。きっとそこでも一番星(エトワール)になれるだろう」
 社会奉仕という言葉を受け、自分が今後どうなるのか瞬時に悟ったミリーネは、悲鳴じみた声を上げた。
「い、いやよ。馬鹿にしないで! 私は社交界のエトワールで光の精霊師、ミリーネ=アバロンドなのよ!? そんな私が修道女になって社会奉仕だなんて……嘘よおおっ!!」
「今更、どれだけ悔いたところで時は巻き戻らない。現実を受け入れるんだな」

 その場に泣き崩れるミリーネを尻目に、シドリウスは捨て台詞を吐くと、面会室をあとにした。