指輪は案外すぐ近くで感じられた。次に、後ろから誰かに抱きつかれる。
「フィー?」
ちらりと後ろを見ると、月夜に照らされて白銀の髪が見える。サイドにはシドリウスが贈った真珠とダイヤモンドで作られた蝶の髪飾りがついていた。
「なかなか戻ってくれなくて、寂しかったんですよ」
フィリーネが声を震わせながら呟く。
「遅くなってすまない」
シドリウスは抱き締めてくるフィリーネの手に、自身の手を重ねた。
左手薬指にはピンクスピネルの指輪がはまっている。
「大丈夫です。でも、今夜はずっと一緒にいてください。もう私、シドリウス様と離れたくありません」
弱々しく切ない声に庇護欲をかき立てられる。
「ああ。俺も離れたくない。フィーが恋しくて堪らない」
「シドリウス様も私と同じ気持ちだったのですね。嬉しいですっ」
感激したフィリーネが顔をシドリウスの背中に埋めてくる。
シドリウスはくすりと笑うと、フィリーネの手をとんとんと叩いた。
「フィー、訊きたいことがあるんだが訊いてもいいか?」
「はい。何でしょうか?」
「――本物のフィーはどこにいるんだ?」
シドリウスは声のトーンを落として尋ねる。
一瞬、後ろにいる相手の息を呑む音が聞こえた。
だが、すぐにしおらしい声が聞こえてくる。



