「それでですね、ここをよく見てください。契約内容には『闇の精霊について屋敷以外で他言しないこと。また、忌み子のフィリーネに栄養のあるものを与えないこと』と書かれていますが詳しくご説明いただけますか?」
ヒュドーは指摘箇所を人差し指で示した。
だが、ハビエルが答えるより先に、声を荒らげたのはシドリウスの方だった。
「フィーが忌み子だと? おまえのような実の娘を虐げる人間の方がよっぽど忌むべき対象だ」
すると、それまで怯えて大人しかったハビエルが目の色を変えた。
「陛下に私の心の痛みなど分からないでしょう! 私は愛するカトリーヌを失ったんだ! あの不幸をまき散らす、闇の精霊に好かれた忌み子なんかが生まれたせいで!!」
言い終えるや否や、ハビエルがしまったというように顔を引き攣らせる。変化はすぐに起こった。
ハビエルの身体が青い炎に包まれたのだ。
「うわああああっ!」
痛い熱いと泣き叫びながら、ハビエルが床の上でのたうちまわる。
シドリウスはハビエルに向かって手をかざし、呪文を詠唱した。
青い炎が跡形もなく鎮火する。



