「まともな教育も食事も与えず、虐待していたおまえが偉そうにものを言うな。俺の番を散々苦しませてきたんだ。その借りは存分に返させてもらうぞ」
ハビエルは顔色をなくした。
「あなたは……まさか、竜人!?」
シドリウスが竜人だと分かったハビエルは、口をぱくぱく動かすだけでそれ以上は声が出せない。
ハビエルの反応を見るに、竜人の番に手を上げた者がどんな末路を辿るのかは理解しているようだ。
「安心しろ。人払いの魔法はかけてあるから。誰も来ないぞ」
シドリウスが微笑みながら冷え冷えとした声で話す。当然だが目は一切笑っていない。
「知っているぞ。領内の落石事故と投資に失敗して首が回らなくなっていることくらい。こちらは調査済みだし、おまえの魂胆など丸わかりだ。フィリーネに男が見つかったのなら、その相手から結納金を吊り上げてむしり取ろうという算段だったんだろう?」
シドリウスはハビエルの胸ぐらを掴むとぐいっと引き寄せる。シドリウスよりも頭一つ分ほど身長の低いハビエルは爪先立ちになり、膝をがくがくと震わせていた。
シドリウスは構うことなく話し続ける。
「落石事故はインフラ整備を怠ったから。投資の失敗は欲に目が眩んで後先考えずに行動したから。すべてはおまえの行動の結果だ。爵位を売るなり、領地を手放すなりして最後まで自分で責任をもって対処しろ。そして本題はここからだ」
胸ぐらを掴んでいるシドリウスの手に力が籠もった。
ハビエルは至近距離でシドリウスの殺気に充てられて白目を剥きそうな勢いである。



