「フィー、何を見ているんだ? ああ、それはピンクスピネルとダイヤモンドの指輪だな」
「ピンクスピネル……初めて聞く名前です!」
「希少な石だから無理もない。なんだかフィーの目の色と似ているな」
「そうでしょうか?」
自分の目の色をじっくり見たことがないので分からない。
きょとんとしていたら、丁度戻って来た店員が部屋へと案内してくれる。
商談用の部屋なのか室内は革張りのソファとローテーブルだけが置かれていた。
フィリーネとシドリウスがソファに腰を下ろすと、店員が用意していた黒色の箱をテーブルの上に置く。
蓋が開かれると、中には真珠の三連ネックレスとダイヤモンドのブレスレット、イヤリング、真珠とダイヤモンドで作られた蝶の髪飾りが入っていた。
「……これは明らかに男性ものではないですね」
嫌な予感がしたフィリーネは、隣にいるシドリウスへ視線を向ける。
シドリウスはくすりと笑って頷いた。
「もちろん、これはフィーのために作った宝飾品だ。おまえの楚楚とした雰囲気が増すようにデザインしてもらっている」
「どうですかお客様、ご満足いただけましたか?」
フィリーネはあまりの豪華さに二の句が継げない。
わざわざデザインしたというので完全なオーダーメイド品であるようだ。
(こ、このダイヤモンドはお姉様が持っているどの宝石よりも大きいです。こんな高価なものを私が身につけても大丈夫なんでしょうか!?)
宝石の輝きを遮るように手を前に出しながらも、再度一瞥する。やはり豪華だ。
満足かどうか訊かれたけれど、これは完全に分不相応である。
どう答えるべきか狼狽えていると、代わりにシドリウスが真顔で答えた。



